「対人関係の心理学」と呼ばれるアドラー心理学を職場コミュニケーションに応用する方法を学びます。職場にはびこる“困ったちゃん”をアドラー心理学で分析。傾向と対策を示します。第5回は「上司の意見に従うばかりのカメレオン係長」編。
<今週の困ったちゃん>
上司に従うばかりの「カメレオン係長」
八方美男さん(33歳)
■症例■

 気配りが行き届き、人当たりもソフト。上司の意向を汲むのにも長けているため、歴代上司から常に高評価。次期管理職に、と期待され続けていたが、ここ数年はなぜか停滞気味。いつの間にか、同期入社組に次々と抜かれ、管理職登用試験に合格しないまま3年が過ぎた八方美男(はっぽうよしお)係長(33歳)。

 1年前に八方さんの上司に赴任したA課長(45)は悩んでいた。当初は八方さんの優秀さに大いに感心し、目をかけていたのだが、最近は物足りなさの方が先に立ってしまうのだ。A課長が物足りないと感じる八方さんの行動とは、以下のようなものだ。

  • 会議では、いつもA課長の意見に賛同してくれるものの、その論調は「本当にそれっておまえの意見なの?」と突っ込みたくなるほどきれいごとに聞こえてしまう
  • こちらから意見を求めても常に「課長の言う通りでいいと思います」としか言ってくれず、物足りない
  • 任せているチームのメンバーとも仲良くやっているようだが、A課長から見て「ここは強く叱らなくては」と思う場面でも、なあなあで済ませて、チームを引き締めることができていない
  • どうやら彼は自分のことを「うまくやっている」と自己評価しているようだが、このままでは次期管理職としてチームを委ねることは危険に思えてならない。折に触れ、「自分の意思を持て」と助言しているのだが、どうもうまく伝わっていないようだ……

 いったい、どう接すれば八方さんはわかってくれるのか。そして一皮むけ、次期課長に育ってくれるのか。八方さんが、なまじ優秀なため、余計に対応に困ってしまうA課長であった……。