対策1:「押しつける、誘導する、ほめる」に要注意

 そんな八木田さんに対して、上司が取ってしまいがちな間違いは「押しつける、誘導する」といったものだ。八木田さんから見ておそらくは「カッコ悪い」と思われている「肉食」的価値感を当然のこととして「押しつけたり、誘導したり」すれば、余計に反発を買うだろうし、八木田さんの勇気をくじくだろう。

 「そもそも会社員である以上は上を目指さねばならない」
 「オレの若い頃はもっとガツガツしていたものだ」

 といった押しつけの言葉は慎むべきであろう。

 また、これ見よがしの「ほめ」言葉もやめた方がいい。

 「お、後輩を指導しているのか。やればできるじゃないか。その調子だ。そろそろリーダーになってもらわなくては困るからな」

 アドラー心理学では「ほめる」ことを操作・コントロールと考え、賞罰教育を否定する。そうではなく勇気づけるのだ。「ほめる」と「勇気づける」の区分はわかりにくいが、総じて以下のように対比することができるだろう。

「ほめる」:上から目線、評価的、自分(上司)目線、相手の自立を奪う方向に働く
(例)よくやった、偉い!やればできるじゃないか

「勇気づける」:横から目線、共感的、相手(部下)目線、相手の自立を支援する方向に働く
(例)あなたのお陰で助かった。ありがとう。勉強になった

 つまり、誘導的な「ほめる」は逆効果であり、押しつけと同じ意味合いに働いてしまう、とアドラー心理学では考えるのだ。