ハードって生まれた瞬間から朽ちていきますが、ソフトは継承することが可能でフォーマットになります。じゃあ、ソフトって何かというと、それは「人」そのもの。要は人を中心に置いた社会を考えてみることが「感性」であり、今までにはなかった新しい発想や仕組みが生まれてくるんだと思っています。

 人が中心になると自然に生まれてくるのが「会話」。「会話」というものはすごく大切で、自分が波長の合う人たちと会って話をすることほど生産性の高い行為はないんです。かつてヨーロッパでカフェが生まれたときに、まさにカフェからアートやジャーナリズムなどといった様々なものが生まれたように、人を中心にした空間をつくることで、新しい文化が花開いていくのではないかと期待もしています。

涌井:確かに、最近、同じような波長を持った人たち、同じ志を持った人たちがつながることで、新しいものが生まれる機会が増えている気がしますね。ある種の化学反応でしょうか。

谷川:争いごとが多い時代だけに、人と人が向き合って話すということに価値が高まってきています。楠本さんはカフェでそういう「語り場」をつくる仕事をしているんだけど、面白いのはどの場所も、きっちりとし過ぎてないことなんですよ(笑)。いい意味での“緩さ”がありそれが今の時代にすごくマッチしている気がしますね。

谷川じゅんじ(たにがわ・じゅんじ)氏
スペースコンポーザー/JTQ代表
2002年、空間クリエイティブカンパニー・JTQを設立。 “空間をメディアにしたメッセージの伝達”をテーマに、さまざまなイベント、エキシビジョン、インスタレーション、商空間開発を手掛ける。独自の空間開発メソッド「スペースコンポーズ」を提唱、環境と状況の組み合わせによるエクスペリエンスデザインは多方面から注目を集めている。主な仕事に、パリルーブル宮装飾美術館 Kansei展、平城遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻、GOOD DESIGN EXHIBITION、MEDIA AMBITION TOKYOなど。2017年現在、外務省JAPAN HOUSEロサンゼルス事業プロデューサー、旅する新虎マーケットアドバイザー、GINZA SIXオープニングセレモニー総合ディレクター等を務める。

造園とは空間だけではなく、時間の掛け算なんです

涌井:緩さとか不完全さって貴重なんです。例えば、禅宗のお坊さんが、悟りや真理の象徴である「円」を描くとき、完璧な円形ではなく、必ず不完全に描く。あのアンバランスさが実はバランスになっているんです。