そのチームは、次にインドネシアの古都で現在はヒップ・クリエイティブ・タウンでもあるジョグジャカルタとも交流を持っています。

 そうやって小さい単位でネットワークになりながら広がってきているというのが、面白いですよね。

では、巨大都市が巨大都市でありつづける理由は?

楠本:メトロポリタン都市としてのロンドン、ニューヨーク、パリ、東京、そこに追随してきている北京、シンガポールがあると思いますが、この中での東京はどういうふうに存在感を出していけばいいでしょうか。

梅澤:存在感を高めるための必要条件と十分条件があります。必要条件は、グローバル都市としての必要な環境が整っていること。どこの国の人にとっても、快適な滞在や居住が可能で、ストレスなく働ける都市であることです。外国語による生活サービスの拡充、高度・専門人材に対するビザ緩和、子息の教育や生活の環境を整備することなどが重要です。十分条件は、世界の都市競争の中で、どこで突き抜けて圧倒的ナンバーワンの価値を作るかというポイントです。ニューヨークやロンドンやパリの真似ではなく、東京の凄い部分、世界に誇るエッジをどう強調するかという問いですね。NEXTOKYOでも議論を重ねていますが、クリエイティブシティとしての側面が、東京のエッジとして最も重要だと思います。

楠本:今まで都市というと、人口が多く高層ビルが沢山建っているところという感覚でしたけど、これだけネットワークが発達し、情報が簡単に手に取るようになってくると、都市の役割が変わってきていると思うんですが。

高島:都市の機能として残るのは何なのか? 先ほどの必要条件でいうと、東京が凄い部分は「治安」ではないでしょうか。落とした財布が戻ってくるじゃないですか。それが東京であり、日本の凄さだとすれば、それは「治安」だと思います。日本人は性善説が主になって、そのような治安を保持できてきました。しかし今後、外国人が増えてきた時にそれを同じように性善説で見るのか、それとも海外のように性悪説で見るのかが大事なポイントになってくるんだと思います。

楠本:そういえば、ポートランドはすごく治安がいい。ブルックリンも以前より治安がよくなった。治安の良さは街の魅力を高めるうえで大きいですね。

梅澤:東京のシェアオフィスの方がニューヨークのシェアオフィスより使いやすいのは、例えば会員になって前金を払わなくても使えたりするところです。つまりそれは、ニューヨークは機材を持ち逃げする人がいる、ということを前提にしているから、先にセキュリティーを担保している。それは性悪説ですね。性善説の日本の方がいろいろな面で便利です。

高島:東京は世界でも1、2の治安のいいメトロポリタンだとしたら、性善説で人を集めていくのが良いな。僕としてはずっと東京に居続けたいです(笑)。

楠本:治安がいいとポジティブな人が集まり、ポジティブな人はクリエイティブ志向な人が比較的多く、彼ら同士の会話やアクションが成り立ちやすくなる。良い循環ですね。

梅澤:なぜか分かりませんが、長く日本に住んでいる外国人はとてもマイルドになると思いませんか。下手な日本人より日本人らしくなっています。不思議とみんな日本人化しています(笑)。

楠本:そうですね、しかもすごく丁寧な人が多いな。それ面白いですね!

梅澤:物腰が柔らかいし、僕がニューヨークで対峙していたあのガツガツした感じの人は、あまり東京では見かけません。人も日本化できる土壌を持っているんです、日本は。それは結構強い財産です。