よそ者目線で発掘できるはず

梅澤:最近、外国人が、これまで日本人もあまり見向きもしなかったようなマイナーでディープなところに移住して、いろいろとピックアップしては、世界に発信してくれることが本当に多くなってきました。東京にいる日本人にだってできるはずです。よそ者目線で都市や地方の見えない価値をどんどん発掘してほしいです。

楠本:高島さんがサポートしている「越後妻有のアートフェス」にも近いイメージがあります。「よそ者目線」で見て面白いことを発掘し、しかもアート作品にすることによって社会問題提起や、それによって社会を変えようというソーシャルインパクトになっていたりしますから。

高島:そういう地域のイベントや戦略の重要性が相対的に上がってきていると思います。例えば、国対国で問題解決ができないことが地域同士なら解決できたりするようなこともありえます。国という概念よりも、都市やさらに地域単位。世の中を明るくするパワーは国がつくるんじゃなくて、都市や地域が牽引し、つくっていくようになると思います。

楠本:そうですね。アメリカではなく「ポートランド」とか、スペインではなく「サン・セバスティアン」などが、いい例ですよね。ポートランドは“クリエイティブ”、サン・セバスティアンは“美食”といったように、キーワードがあり、キャラクターの立っている街は魅力的ですよね。

国ではなく、世界が「都市」の連合体になっていく

梅澤:そもそも国ではなく、都市単位で動けばもっと速くなります。そしてその方が、アイデンティティも明確にしやすい。要は世界中がシンガポールみたいな感じになる。シンガポールがあれだけ早く動きを決めて前に進めるのは、都市規模だからだと思います。

楠本:企業単位に近いイメージですね。

高島:それがこれからの方向観なのかもしれませんね。そういう小さい単位が主役になっていく。

自分たちの街は何の街? 大切にしたいものを世界の街と共有

高島宏平(たかしま・こうへい)氏
オイシックス社長
1973年、神奈川県生まれ。東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻修了。米マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社入社。2000年オイシックス設立、社長に。2013年東証マザーズ上場。著書に『ライフ・イズ・ベジタブル オイシックス創業で学んだ仕事に夢中になる8つのヒント』『ぼくは「技術」で人を動かす』など。

高島:街単位での成功例は出てきていますが、どういうことをやっていけば次のステップとして進めるのでしょう。

楠本:より地域同士の交流が混ざっていくことが大切ですね。例えば、それぞれの街が何の街なのかということを宣言し、そして近くの地域同士でその価値を共有して、次に世界のどの地域と同期できるかを見つける。世界と同期する街を決めるとそこに国を越えたアクションが生まれます。類似点を探ることで自分たちのキャラクターを再発見することもできるし、世界的にどう売っていくかということも学べる。

梅澤:外から見ることで新しい価値を発見する。さらに価値観を共有する都市同士で知恵を交換することで、互いに進化していくという動きですね。

楠本:例えば、逗子にあるシネマアミーゴ(CINEMA AMIGO)というカフェが、シネマキャラバン(cinema caravan)という移動式の映画館をつくり、逗子の海岸で「逗子海岸映画祭」をやりました。それが、かっこいいと評価されてスペインのサン・セバスティアンの国際映画祭に招待されました。サン・セバスティアンは美食の街として知られ、キャラクターが立っている街なのですが、親交が深まり、スタッフ同士で勝手に姉妹都市を宣言し、今度はサン・セバスティアンの人が逗子に来て、地元の人たちにバスク料理を教えるという、映画だけでなく食での交流も生まれたんです。そういうことが大切なんだと思います。