地方には「資源」がたくさん眠っています

梅澤:高度成長期から今までの日本は、地域が人を供給して、都市に集まった人たちが産業を興し、その産業が生み出した富が国全体に再配分されてきた基本的に一方通行な状態でした。だけど、産業が高度化し、サービス化してきて、かつインバウンド観光というものが重要な産業になってきました。インバウンド観光にしても、食にしても、実は地域が鍵を握っている。沢山の資源が眠っていて、それをどれだけ活用できるかが、国力向上には大事なんです。

楠本:地方に眠っている「資源」?

梅澤:自然や食や歴史遺産など、様々な素材が地域に眠っていますよね。大事なのは、それらの素材を発掘、編集して、魅力的な観光資源に磨き上げ、情報発信していくこと。Uターンだけでなく、Iターンも含めて、いろいろな人が地域に入っていって、こんな動きを活性化することが必要です。

楠本:そうすると、東京の役目はどうなるのでしょう?

梅澤高明(うめざわ・たかあき)氏
A.T.カーニー 日本法人会長
東京大学法学部卒、マサチューセッツ工科大学(MIT)スローンスクール卒(MBA)。経営学修士。日産自動車を経て、A.T.カーニー(ニューヨーク・オフィス)入社。日本・米国の大手企業を中心に、戦略・イノベーション・組織関連のコンサルティングを実施。クールジャパン関連の政府委員会で委員を歴任。著書に『最強のシナリオプランニング』など。

梅澤:本来は地域の住民が直接、世界に情報発信をしていければ良いのですが、東京から遊びに行った人たちがその地域の魅力に惹かれて行き来するようになり、情報発信のハブとなるケースも少なくない。

 今まで以上に、豊富な結び付きが大都市とそれ以外の地域にできてくれば、日本はとても豊かになるしもっと魅力的な国になるはずなんですよ。

楠本:いわゆる“よそ者”たちが入ってきて、その地域の魅力を再発見して、地域イノベーションを起こしていくということが始まってきたということですが、一方で、地方の在り方はどうなっていくでしょう。

高島:楠本さんも著書の『ラブ、ピース&カンパニー これからの仕事50の視点』で紹介していますが、例えば、東北だと震災以降、人が移住し実際にその場で新しい事業や仕組みづくりに取り組み、成果を出し始めているケースも増えてきましたよね。

梅澤:ちょうど日本がそういう転換を必要としていたタイミングだったということもあると思います。そして、東日本大震災からの復興を前向きに良いきっかけにしようと思う人たちが、地元からも現れて、少なくとも局所的にはいい意味での化学反応がいろいろ起こっているとみています。

楠本:いろいろな人が混ぜ合わされることで新たな動きにつながり、プラス効果を生んでいますよね。