あり得ないという状況を素晴らしい出会いに変える

本田:旅には「予想外のトラブル」がつきもの。修さんの本にも書いてあったけど、確かに予想外のトラブルを楽しみにどう変えるかが醍醐味です。

キム:人生も旅も想定外の連続。逆に、想定内に収まることに満足はあっても感動は生まれない。例えば、ガイドブックは参考にはするけど、それだけを確認するような旅をしても、自己満足で終わってしまうことが多い。ガイドブックを捨てた瞬間から本当の意味での“旅”が始まる。偶然に出会ったり、予想外のものを発見したりするセレンディピティーや縁が待っていて、そこから人は初めて感動を得たりします。

楠本:当たり前の日常が続くと、感度が鈍る気がするんです。

キム:慣れ親しんだことに対しては、人はセンサーを働かさなくて済みます。それはそれで楽なことではあると思うのです。逆に旅に出ると非日常の連続ばかりで疲れます。なぜなら、普段は使ってないセンサーをフルに使っているから。

 遠くに出かけなくても日常性の中に非日常を入れていくことで、“旅”の気分を味わうことができます。例えば、普段読んでない本を読んでみたり、普段行かないところに行ってみたり、そういう小さいことでいい。そういう非日常がもたらす刺激や気づきを自分の成長につなげていくことが大切なんだと思います。

あなたは名刺を渡さず仕事ができますか

楠本:日本人のビジネスマンは海外に行っても名刺交換から入るでしょ。私は「何々会社の課長です」とか、肩書から入る。最近は海外の人たちも優しくなってきたから、それが日本の流儀だと理解してくれているけど、本当は、個対個で、いろいろコミュニケーションをとって、最後に電話番号やアドレスを書き合うみたいなのがいい。お二人とも、「海外では名刺も持たずに仕事している」と聞きました。僕も最初から名刺を渡すことはあまりなくて、会話から入ることが多いかな。

キム:名刺を渡す挨拶ばかりしていると、自分自身が何者かを語れなくなっちゃうんです。もし名刺がなかったら、自分を同様に語れるかを考えてみると良いでしょうね。

楠本:そう。自分を理解してもらうために、一生懸命自身をプレゼンするようになれるし、仕事とプライベートとの一線の引き方も変わってきます。「仕事=遊び=学び」とよく言うのですが、そのバランスが上手い人は、どこか楽しそうに生きている。でもそれは、自分という存在の真剣勝負をし続けているということでもある。