2001年にカフェ・カンパニーを創業して現在、国内外で100店舗以上を展開、他社とのコラボレーションによる商業施設の企画や地域創生、政府主導の「クールジャパン戦略事業」にも携わる楠本が、今“気になる人”たちと一緒に毎回、未来の企業、働き方、生き方などのテーマについて語る鼎談企画(全6回)。
いま、企業での人材採用・育成は難しい局面を迎えている。多様なキャリアを背景にした人たちを集め、それぞれの人たちにあった働く動機を与え続ける「新しい人事」が求められる。実は、カフェは多様な人たちが集う場。カフェの思想を活かすことが、新時代の企業人事、育成のヒントになりうるのではないか、と考えたのが今回のテーマ「カフェから考える教育と人事」。
今回(第2回)の鼎談に参加して下さったのは、教育改革実践家で現在、奈良市立一条高校校長の藤原和博氏とリンクアンドモチベーション会長の小笹芳央氏です。ちなみに、筆者であるカフェ・カンパニーの楠本修二郎も含め、この3人はリクルート出身者です。
(連載 第1回 から読む)

斜め上下にも関係性を持たせた「スジコ組織」
楠本:僕は2001年に創業して16年になりますが、会社の組織をつくる上でイメージの源流となったのが高校時代の部活動や大学生時代にやっていたサークルです。
そこでは、いろんな個性をもった人たちが同じ場所に集まると面白いことが起きるという体験を何度もしました。だったら、いろんな「人」のキャラクターに反応して、フォーメーションが自在に変化する会社ができないだろうか──。自分で会社を起こす時にそんなことを考えていたんです。
そして、飲食業の世界に入ったのですが、飲食業界って「肉体労働」と言われることが多いんですね。でも、じゃあ本部や本社が「知的労働」を担う“頭脳”なのかというと必ずしもそうとも言い切れません。あらゆる問題や課題の答えはやはり現場にあります。現場で働く人たちが感性を研ぎ澄ませて知的に動くことが大切なんです。
だから肉体労働だけでも知的労働だけでもない──。表現しにくいのですが、単純作業ではないエモーションな働き方があるのではないかと思っているんです。お客さんの反応、街の風景に合わせて、より適応した組織に、働き方も変貌していかないといけないし、さらに土地土地によって変えていかなければならない。うちは100店舗を展開しても、同じフォーマットの店はないし、マニュアルがない。なので、個性ある人が大事なんです。
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