6000人でも「カフェ的企業」は成り立つのでしょうか?

杉本:いまの話、ヤフーさんのような大きな組織でも成り立つと思いますか?

宮坂:うちも今わりと、楠本さんに近い方向を目指しています。多様な人たちの集まる場所づくりを、試行錯誤中です。もちろん、できているとは言い切れない。大きな組織ゆえのジレンマもあります。もっともっと権限委譲をしていこうと考えています。うちの場合、サービス分野が幅広い。ゲームを作っている部門がある一方で、金融(フィンテック)をやっている部門もあるわけです。だから、これを同じ1つの組織文化でどうつくっていくかというのが、凄くチャレンジングなことだと思っているんです。

杉本:そもそも、ヤフーさんの場合、文化を1つにする意味がないかもしれないですしね。

宮坂:極力、分けていく方向にしたいとは思っています…。あとは、楠本さんと同じく、できるだけマニュアルも減らしたい。会議より会話。僕が「カフェ的な会社」にしたいと考えている理由の1つは、いつも同じ人としかしゃべらない生活が嫌だからなんです。

 会社に来て、半径約10メートル中の人間関係だけで、お昼ご飯は毎回同じ人と行ったり、同じ人としゃべる…。下手すると晩飯も一緒で、会っているお客さんも一緒になってしまう状況を避けたい。そういう状況を続けていくと、オペレーションの効率が一時的には上昇し、作業的にも楽なのかもしれませんが、果たしてクリエイティブなのだろうか?と思ってしまいます。

 違う人と会うことが、無駄になることもたまにはありますが、でもやはり半径10メートル外の人との会話がある会社にしたいと考えていたら、行き着いた答えがカフェのイメージだったんです。

楠本:制度や組織の側面で、カフェと共通するものってありますか。

宮坂:カフェには会話があるけど会議はないですよね。会社に会話を増やしたいです。カフェみたいに会話がいっぱいあって、会議が少ない会社にしたいです。あと、横のつながりをどう維持するか、というのが課題になってくると考えています。楠本さんは、横のつながりをどうやって活性化させているのでしょう?

宮坂 学(みやさか・まなぶ)氏
ヤフー社長

1967年11月生まれ、山口県出身。1991年同志社大学経済学部卒。編集プロダクションを経て、1997年に53番目の社員としてヤフーに入社。2002年メディア事業部長、2009年執行役員コンシューマ事業統括本部長。2012年4月に最高経営責任者、6月に社長就任。バックカントリースキー、ロードバイクなど自然と向き合うアウトドアスポーツ全般が趣味。