13年、WHOのマーガレット・チャン事務総長は「たばこ(会社)だけではなく、巨大な食品、炭酸、アルコール(会社)と戦わなければならない」と発言。14年には国連のデシューダ特別報告者(食糧問題担当)はジャンクフードをやり玉に挙げ、「たばこより大きな健康上の脅威になっている」と警告している。

 インドネシアでは14年、アルコール飲料メーカーに対し、簡易包装を採択するか、目立つ部分に摂取を控える注意書きの図を表記するかを求める法案を提出した。

 つまり、たばこの後にはこれら食品に対し、公衆衛生を盾にPP法のような規制が広がっていく可能性が残る。世界的にだ。

 我が国は少子高齢化が進み、アルコール類や清涼飲料をはじめ食品市場の縮小に歯止めがかかっていない。それだけに、「ブランドロゴをはじめ表現が規制されるのは、死活問題になる。ブランド構築力は企業価値の大きな要素だ」(ビールメーカー幹部)という声が上がる。飲料メーカーの首脳は「清涼飲料は健康被害が明確なたばことは違う。が、法令遵守と自由な表現とのメリハリは求められるだろう。ただし、(海外を含めて)法規制されれば、遵守していかざるを得ない」と話す。

 流通企業の幹部は、「例えば、コンビニ。健康被害を訴える写真入りのたばこのパッケージは、消費者の購買意欲を削ぐはず」と言う。

すぐ導入とはならないが

 昨年6月に第1回のパネル会合がもたれ、現在も係争中。パネルの結論が出されるのは16年後半の見通しで、上級審の最終判断はその後となる。

 すでに05年に、世界保健機関(WHO)でたばこ規制枠組み条約ができていることから、豪州PP法にWTO違反という結論が出されるとは考えにくい。とはいえ、商標権をはじめ知的財産が国際的に保護されなければ、そもそも自由貿易は成り立たない。公衆衛生が国際通商など経済的な価値よりも優先される、というのは、硬直的な判断といわざるを得ない。

 仮にWTOで豪州PP法が「合法」という結論が出ても、日本もすぐに追随しなければならないわけではない。ただし、他の先進国が相次いで立法化を進めていった場合、長期的には同様の国内法の整備を迫られることにはなりそうだ。