前回も書いたが米カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションヴィークル)規制強化をはじめ、世界中で環境規制は目白押しだ。世界の自動車大手は、EVか燃料電池車を商品化していかないと、例えば加州では事業そのものが行いにくくなる。

 日産はNECと共同開発した、ラミネート型のリチウムイオン電池を持つ。三元系(マンガン、コバルト、ニッケル)プラス電極を採用した新型電池も開発。これはEVの航続距離に効く。一方の三菱も、GSユアサとの共同の角形電池を持つ。

 両者が深くタッグを組むことで、EVに参入するメーカーを巻き込んで、“陣営”を築くことも不可能ではない。電池や電池を組んで管理する技術は、EVの基本となる。パソコンに例えるなら、OSでありインテル製のマイクロプロセッサーに当たるだろう。さらに、ICTの活用による自動運転などが加わっていく。

 EVのOEMは果たせるし、電池を含めた電動部分のベンダーとして技術供与も可能になる。しかも、三菱自にはアウトランダーに代表されるプラグインハイブリッド車(Plug-in Hybrid Vehicle=PHV)もある。PHVでも同様のビジネスは果たせる。何しろ、EV、PHV、さらにハイブリッド車(HV)まで持っているのは、今回誕生する日産・三菱自連合だけである。

EVの基本技術で主導権を握る

社名変更発表後、記者の質問に「(資本提携までの進展が)早くて驚いた」と語った富士重・吉永社長
社名変更発表後、記者の質問に「(資本提携までの進展が)早くて驚いた」と語った富士重・吉永社長

 スバルは2021年にEV投入を決めた。

 吉永社長は「トヨタを頼らずに、自力で開発を進める。ZEV規制においてHVが除外されてしまい、EVを出さざるを得なくなった」と話す。これまでHV開発、さらにはZEVに部分的に対応できるPHVの開発において、資本関係のあるトヨタから基本技術の供与を受けてきた。

 だが、トヨタはEVを商品化していないから、技術供与を受けたくとも受けられない事情がある。

 スバルは2010年頃まで自社でEVを開発してきた過去がある。「しかし、電池のレベルが上がってしまった。当時の知見を生かしながらも、基本から取り組んでいく」と吉永社長。

 例えばだが、スバルのようなメーカーに対して、PHVやHVにおけるトヨタのように、EVの基本技術を供与する役割を日産はできるはずだ。コストと時間軸との関係から、自社開発にこだわるメーカーは限定されていくことだろう。もちろん、自動車メーカー以外の、EV、PHVへの新規参入をもくろむベンダーやICT企業などへの供与も視野に入るはずだ。

 長期的な技術と思われがちなEVだが、ZEVの規制強化は17年後半から。もう待ったなしの状況だ。三菱自は二度にわたるリコール隠しにより、多くの技術者が会社を去ってしまった。それでも、新しく生まれる企業連合にとって今は、EVの覇権を目指して世界に打って出る大きなチャンス、ではある。