「宿泊した上海のホテルでテスラがモデルSの試乗会をやっていた。潜り込んで観察してみると、試乗会に参加していたのは、株式投資に成功した人やベンチャー経営者ら“成金”ばかり。しかも、20代や30代など若い人が多かった。環境について語る人は皆無で、スピードや加速など走りの話ばかり。“見栄をはる”文化が色濃い中国で、テスラが人気なのは頷ける」

 中国では、派手なデザインの冷蔵庫や洗濯機をリビングに置く。これは人を招いて見栄を張るためだ。

 ただし、17年に発売予定のモデル3はEVとしては普及タイプである。特定の富裕層に限らず、広くテスラブランドは浸透していきそうだ。

乗った瞬間から「違い」を訴える

 さて、リーフとモデルSを乗り比べると、設計思想の違いがよくわかる。

 リーフはEV専用車ではあるが、従来のガソリン車と同じ感覚で運転できる。例えば同じ日産のマーチなどから乗り換えても、違和感なく馴染めるだろう。操作は簡単で、女性をはじめ日頃は運転をしない人や初心者を含め、運転しやすい設計だ。また、デザインは内装も外装もおとなしく、従来のクルマの延長である。

 これに対し、モデルSのデザインは従来車の延長線にはない。乗り込んだ瞬間から「これはいままでのクルマではない」とすぐ分かる。インパネの液晶画面は大きく、運転席はコックピットと呼んだ方が相応しい。リーフよりもサイズが一回り大きいのだが、発進はトルクフルで加速も力強い。さらに、アクセルを緩めて回生発電をしているときは、後方に引っ張られるような、ガソリン車やリーフにはない感覚を味わう。ガラケーを使っていた人間が、初めてスマホを使ったときのようなものか。外観も、遠くからでもすぐに認識される尖ったデザインだ。

 EVの心臓部であるリチウムイオン電池にも違いが見られる。リーフはNECと共同開発した専用電池を搭載する。一方、モデルSは、パナソニックグループの旧松下電池工業(現・パナソニック エナジー)が開発した「18650(直径18mm、高さ65mmの円筒形)」と呼ばれる電池を使う。こちらは、ノートPCにも使用される汎用電池が約7000本搭載されているとされる。この二次電池は、正極にニッケル材を使用していて、高容量(電気をたくさん貯められる)なのが特徴だ。

 ユーザーには見えない部分に、生真面目に専用品を開発する日産、こだわらずにノートPC用の汎用品で割り切るテスラ、という姿が見える。