日産自動車いわき工場にて、内堀雅雄福島県知事(写真右)、清水敏男いわき市長(左)らと。ここでカルロス・ゴーン日産社長の「朗報」発言が飛び出した。

「朗報だ。EV(電気自動車)の提案、そしてラインアップが増えることを当初から望んでいた。一度たりとも、私は競合他社を否定したことはない。競合を歓迎する。なぜなら、市場が拡大する上、EVが自動車の中心を占めていくから。航続距離やコスト改善で日産の開発にも良い影響を与える」

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は、米テスラモーターズの新型EV「モデル3」(価格は約400万円)の予約が発表から3日間で27万台を超えたことに対して、こう話した。

 モデル3の発売は2017年末だが、発表後1週間の予約は32万台を超えた。ちなみに、日産のEV「リーフ」(価格は約320万円~400万円)の累計販売台数は、2010年12月から今年3月までの5年3カ月間で約21万1000台である。

リーフの5年3カ月分を予約受注で上回る

 「日産はEVのリーダー」と言い続けてきたゴーン社長。リーフの5年3カ月分の台数を予約であっさり5割も上回ったモデル3の受注好調は、これからの日産のEV戦略そのものにも影響を与えるのかもしれない。

 そもそもなぜ、予約とはいえテスラは大きく支持され、リーダーであるはずの日産の支持は爆発しないのか。

 日産は、「環境意識の高い人」をターゲットとしてEVを商品化してきた。リーフも商用車「e-NV200」にしても、商品コンセプトの中心は「環境に優しいクルマ」である。環境意識の高い人は、しかし、必ずしもフトコロがリッチとは限らない。

 これに対して、テスラは「目立ちたい人」あるいは「クルマで走りたい人」をターゲットにしている。顧客が環境への関心をもっているかどうかは、二の次である。

 テスラは、スポーツカー仕様の「ロードスター」に始まり、主力の高級セダン「モデルS」などを展開。最初から、EVのもつトルクフルな走りや斬新なデザインが“売り”であり、結果として環境にも優しいクルマだ。何より、モデルSの価格は「リーフ2台分以上」(日産幹部)であるため、富裕層であることは顧客になるための前提である。

 国産自動車メーカーの役員は言う。