米国で強姦容疑で逮捕されたことが報じられた京東集団の劉強東CEO。2017年6月撮影(写真= ロイター/アフロ)
米国で強姦容疑で逮捕されたことが報じられた京東集団の劉強東CEO。2017年6月撮影(写真= ロイター/アフロ)

 12月1日、カナダ司法省は中国通信機器大手「“華為技術有限公司”」(略称:華為(ファーウェイ))の副会長兼最高財務責任者(CFO)である“孟晩舟(もうばんしゅう)”(46歳)を米国司法省の要請により逮捕した。孟晩舟は香港発の飛行機でメキシコへ向う予定で、カナダのバンクーバーで飛行機を乗り継ごうとしたところを逮捕されたのだった。12月11日、カナダの裁判所は、保釈金1000万カナダドル(約8億5000万円)、来年2月に行われる孟晩舟を米国へ引き渡すか否かの審問までバンクーバーに滞在すること、パスポートの没収、GPS(全地球測位システム)付き追跡装置の装着による終日監視などの条件付きで、孟晩舟の保釈を認めた。

 

 米経済誌「Fortune(フォーチュン)」が2018年7月に発表した『Fortune Global 500 in 2018(2018年世界企業番付)』によれば、第72位に“Huawei Investment & Holding”とあり、“revenues(収益)”:89,311百万米ドルとある。“Huawei Investment & Holding”こそが「華為技術有限公司」であり、同社は非上場の民営企業である。孟晩舟はこの2018年世界企業番付の第72位にランクされた大企業のNo.2である。しかも、ファーウェイは通信機器分野で中国を代表し、製品を世界各国へ販売・供給している企業であるから、No.2が「イラン制裁に違反する取り引きに関わった疑い」で逮捕された影響は、ファーウェイだけに止まらず、国家としての中国に及ぶことは間違いない。

 

 ところで、日本ではほとんど報じられていないが、上述したフォーチュン誌の「2018年世界企業番付」で、収益53,965百万米ドルで第181位にランクされた“JD.com”という名の中国企業の創業者で、最高経営責任者(CEO)である“劉強東”(45歳)が米国において強姦容疑で逮捕されているのである。“JD.com”の中国名は“京東集団”であり、同社は2014年5月に米国ナスダック市場に株式上場を行った大型総合電子取引サイトであり、米国のアマゾン(Amazon)、アルファベット(Alphabet)に次ぐ世界第3位のインターネット企業と言われている。京東集団の概要紹介によれば、同社は17万人の正社員を擁するが、間接的に雇用する包装・輸送人員やその他関連人員などの合計は1000万人に上っているという。

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