2017年3月、環境保護部は2月17日付の『“京津冀及周辺地区2017年大気汚染防治工作方案(北京市・天津市・河北省及び周辺地区の2017年大気汚染防止作業計画)”』(以下『2017年作業計画』)を発表した。これは前年の『防止措置2016~2017年』を発展させたもので、その対象地域は従来の2+4都市(北京市・天津市+河北省の4都市)から拡大されて2+26都市になった。2+26都市とは、北京市・天津市+河北省の8都市(石家荘市・唐山市・保定市・滄州市・衡水市・邢台市・邯鄲市)+山西省の4都市(太原市・陽泉市・長治市・晋城市)+山東省の7都市(済南市・淄博市・済寧市・徳州市・聊城市・濱州市・荷澤市)+河南省の7都市(鄭州市・開封市・安陽市・鶴壁市・新郷市・焦作市・濮陽市)であった。このうち、山西省の4都市はいずれも石炭を産出する「産炭都市」である。
「青空防衛戦」に3段階の指令
『2017年作業計画』の主要任務は7つの項目で構成されるが、その第3項目には次のような内容が書かれている。
【3】冬季クリーン暖房重点プロジェクトを実施する。2+26都市を北方地区冬季クリーン暖房計画の第1回実施範囲とする。“城中村”、“城郷結合部(都市部と農村部の隣接地域)”および農村地区の“散煤”管理を全面的に強化し、北京市、天津市、廊坊市、保定市では10月末までに“禁煤区(石炭禁止区)”建設の任務を完成させ、実施範囲をさらに拡大させて冬季クリーン暖房を実現する。その他の都市は輸送ラインを10月末までに完成させ、天然ガスが良ければ天然ガス、電気が良ければ電気の原則で、各都市は5万~10万戸の“以電代煤(電気で石炭に換える)”あるいは“以気代煤(天然ガスで石炭に換える)”による集中暖房の工事を完成する。工業の低級余熱や地熱エネルギーなどの利用を拡大する。
さらに、環境保護部は2017年8月21日に『“京津冀及周辺地区2017-2018年秋冬季大気汚染綜合治理攻堅行動方案(北京市・天津市・河北省および周辺地区2017~2018年秋・冬季大気汚染総合管理難関突破行動計画)”』(以下『2017~2018年行動計画』)を発表して、「2017~2018年秋・冬季の大気汚染防止活動に全力で取り組み、断固として“藍天保衛戦(青空防衛戦)”に勝利しよう」と呼びかけた。『2017~2018年行動計画』には次のような記述がある。すなわち、2017年の上半期に各地区各部門は大気汚染防止活動を着実に推進して成果を上げたが、北京市・天津市・河北省および周辺地区における大気の環境情勢は依然として深刻であり、特に秋・冬季の大気汚染防止には弱い部分があるので、的確な措置を採り、秋・冬季大気汚染防止活動を着実に行わねばならない。
要するに、環境保護部は、2016年7月の『防止措置2016~2017年』、2017年3月の『2017年作業計画』、さらに2017年8月の『2017~2018年行動計画』という形で3段階の指令を発することにより、2(北京市・天津市)+河北省・山西省・山東省・河南省の合計26都市における大気汚染防止活動を推進して「青空防衛戦」に勝利しようとしたのである。
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