さて、活魚売場から淡水魚が消えたことは消費者を驚かせて話題となり、多数のメディアが大型スーパーを取材したが、活魚売場の水槽は空っぽで、淡水魚の姿はそこになかった。これが報じられると、北京市では地元の水域で水質汚染が発生したことに起因するのではないかとの流言飛語が飛び交い、消費者に動揺が広がった。これを知った“北京市食品薬品監督管理局”(以下「北京市食薬局」)は、「北京市の水域に汚染はなく、水産物の合格率は9割に達している」と発表してデマを打ち消そうとしたが、消費者は誰も信じようとしなかった。

 11月23日に雑誌「財経」のウェブサイト“財経網(ネット)”が、国家食薬総局から得た情報として、上述した12の大中都市において水産物関連の重点検査を実施する旨の通知が出されていること、国家食薬総局の“食品安全監督管理二司”が北京市内の市場で抜き取り検査の実施を予定しており、その抜き取り検査は家畜・家禽・水産物に対する抗生物質や禁止化合物の使用取り締まり活動の一環であることを報じた。この結果、活魚売場から淡水魚が消えたのは大型スーパーが取り締まりを警戒してのものであることが明らかになった。北京食薬局が言明している通り、北京市水域で産出された水産物の合格率が9割に達しているなら、北京市内の市場で抜き取り検査を行う必要があるのか、また、大型スーパーはどうして淡水魚を活魚売場から撤去したのか。それは北京市内の大型スーパーが販売する活魚の淡水魚には問題があるということなのか。北京の消費者の不信感は募るばかりであった。

原因はマラカイト・グリーン?

 ところが、北京市では11月25日になると大型スーパーの活魚売場に淡水魚が突然復活したのだった。一度は活魚売場から姿を消した淡水魚が数日から1週間後に再度姿を現したのはなぜだったのか。消費者には何の説明もなく、その理由は不明のままだったが、唯一明白なことは、国家食薬総局が北京市内の活魚市場で抜き取り検査を行おうとしたのに対して、北京市食薬局は水産物の合格率は9割に達していると防御線を張っており、両者の立場は相対立していることである。

 かつて商売をやっていたという北京市民は、メディアのインタビューに答えて、次のように述べた。すわなち、彼は過去に北京市内の多数の市場で商売を行ったが、どこの検査部門も“好処費(賄賂)”を取り、政府の検査があるようなら事前に商人へ連絡する。また、“北京市衛生監督所”は無作為に抜き取り検査するのではなく、全て商人が事前に準備した物を検査していたに過ぎなかった。今回、大型スーパーが活魚の淡水魚を水槽から撤収したのは、北京市食薬局の局員から事前連絡を受けたことによるものだと思われる。市場に需要があれば、カネを儲けたくない商人はいないはずであり、今の様に養殖技術が進み、交通・輸送条件が相当に良くなり、活魚が四季を通じて供給されるというのに、消費者が活魚を購入したくても買えないというのは異常としか言いようがない。