これに続けて、李克強総理は「この部門があの部門の証明書を要求する。また、あの部門はこの部門に証明書を先に発行してもらうように要求するといった具合で、各部門は証明書の発行ゲームをやっているのに等しい。結果として、証明書の発行を必要とする庶民は疲れ果て、いつの間にか“関係(人的コネ)”を利用して便宜を図る輩が出現して“腐敗(汚職)”がはびこるようになる」と述べて、悪しき“奇葩証明”の撤廃を求めた。

 この結果、11月20日、国務院の職能転換推進協力グループ弁公室副主任の“呉知論”は、国務院政策定例記者会見の席上、2015年の年末までに社会から非難を受けている“奇葩証明”に対する解決策を検討して実施すると公言した。しかし、それはすぐには実現されることはなく、8か月が経過した2016年8月、公安部、“発展改革委員会”、教育部、人力資源社会保障部、司法部、民政部などの12部門は『公安派出所の証明書発行業務に関わる改善と規範に関する意見』(以下「意見」)を発表して、同意見に基づく施策を2016年9月1日から実施すると全国に通達した。

 それは公安派出所が発行する証明書の種類を必要最小限の9種類に限定するというもので、いわゆる“奇葩証明”については今後一切発行しないことを明確にしたものだった。同時に、公安部の方針を先駆けとしてその他の部門も“奇葩証明”の発行を削減させるよう努力することが明記された。

依然求められる証明書の発行を中止?

 この意見に基づき公安派出所は2016年9月1日から発行する証明書は9種類のみとし、“奇葩証明”の発行は全て取り止めた。この結果が、文頭の趙おばさんを困難に陥れたことはすでに述べた通りである。ようやく“奇葩証明”を規制する政策が実施に移されたことは、たとえそれが小さな一歩であっても喜ばしいことであるが、依然として“奇葩証明”の提出を要求する政府機関は存在しており、“奇葩証明”が絶滅するまでにはまだ相当の期間が必要になるものと思われる。

 中国のメディアが面白可笑しく報じた“奇葩証明”には、“我媽是我媽(私の母は私の母)”証明、“我是我(私は私)”証明などの他に、地元の住民委員会に証明書の発行を依頼したものとして、転んでケガをした老婦人が保険金目当てに要求した「けんかや殴り合いによるケガでないことの証明」や、離婚しようとする妻が「夫と四六時中ケンカしていた」証明、子供が紙幣を破いたので、「傷んだ紙幣は故意に破いたものではない」証明などというものが含まれていた。こうした証明書が必要ということは、それを形式的に要求する役所や公的機関が依然として多く存在するということを示している。

 もっとも、上述したネットユーザーの書き込みにあったように、“奇葩証明”に苦しめられているのは力のない庶民だけで、権力を持つ役人には関係のない話なのかもしれない。