【5】携帯電話の“小米集団”は種々の土地から産出されそうもない米、すなわち、“藍米(青い米)”、“橙米(オレンジ色の米)”、“緑米”、“金米”、“銀米”まで商標登録して、彼らの主力商品である“紅米手機(紅米スマフォ)”がカラー戦争に巻き込まれないように万全を期している。

【6】上記の通り、自社の商標を守るための“防御制商標(防御を目的とした商標)”の登録は、大企業でよく見かける方法である。但し、商標という資源は有限であり、関連規定によれば、3年間使用されずに放置されると、他人が申し出ることにより、登録が抹消される可能性がある。それでも、大企業が自社の商標に近似や類似する商標を大量に登録するのは、彼らの商標保護の意識が高く、資金面も余裕があるからで、商標保護に多大なコストを投入することができるのである。自社の商標を守るためには、常に競争相手と市場の監視を怠らず、一度パクリ商標を発見したら、断固として法的手段を講じて阻止して、合法的権利を守らねばならない。

 五糧液集団がパクリ商標を防ぐ目的で合計2064個もの登録済みの商標を所有しているとは驚くばかりである。中国商標局の商標登録費用は1件当たり300元(約5000円)で、これに商標代理申請機構の費用800~1000元(約1万3000~1万6500円)を加えると、合計では1100~1300元(約2万円前後)かかる計算になるが、商標登録費用は2017年4月1日に従来の600元(約1万円)から半額の300元に値下げされたので、1件当たりの登録費を600元で計算すれば、2064件では登録費だけで123万8400元(約2043万円)かかったことになる。これに代理申請機構の費用を加えれば、2064個の商標登録には少なくとも7000~8000万円を要したはずであるが、五糧液集団のような大企業にとっては、パクリ商標で悩むよりは安上がりなのだろう。

 日本では商標登録する際にパクリ商標による損害を防ぐために、中国のように自分の商標に近似あるいは類似した商標を同時に商標登録するなどということはないだろう。そう考えると、中国という国がいかに油断のならない人々によって構成されているかを痛感するが、そこで生まれ育った人々にとっては、パクリ商標に対する警戒は特別のことではなく、肉親以外の人は信じないという中国人の国民性から考えて何ら特別のことではなく、普通のことなのである。

 さて、2017年4月1日に“中国共産党中央委員会”と“国務院”は、第19個目の“国家級新区”として河北省“保定市”の東部に“雄安新区”を設立することを発表した。同新区は“習近平”総書記の「お声掛かり」プロジェクトあり、“千年大計, 国家大事(千年の大計、国家の大事)”に位置づけられ、“深圳経済特区”、“上海浦東新区”に続く全国的な意義を持つ新区と規定された。