【8】賈敬龍は“故意殺人罪”で起訴された。賈敬龍の裁判は、2015年11月24日に“石家荘市中級人民法院”で一審判決が下され、賈敬龍に対し故意殺人罪により死刑、政治的権利の終身剥奪が言い渡された。これを不服とした賈敬龍は“河北省高級人民法院”へ控訴したが、2016年5月17日に河北省高級人民法院が下した二審判決は、「控訴棄却、原判決維持」であった。こうして、賈敬龍の死刑判決は確定した。河北省高級人民法院は8月31日付で最高人民法院宛てに賈敬龍に対する死刑判決の承認を求める文書を提出した。これを受けた最高人民法院は、10月18日付で賈敬龍に対する死刑判決を承認した。この結果、賈敬龍の死刑執行はいつでも可能となった。死刑は最高人民法院の承認が出てから数日中に執行されるのが通例である。

死刑執行の停止を求める

【9】一審、二審を通じて賈敬龍の弁護団は、種々の論点から刑の軽減を求めたが、石家荘中級人民法院も河北省高級人民法院も弁護団が提起した意見を一顧だにせず、検察側の意見を全面的に採用して死刑判決を下したのだった。論点の概要は以下の通り。

(1)殺害された何建華は2度の刑罰を受けた前科者であり、服役後に北高営村党支部書記、村民委員会主任になった人物である。権力を笠に着て、男を騙し、女に手を出すなどして村民たちを苦しめており、かつて人妻にちょっかいを出して、その夫に十数カ所も切られたこともあった。そんな人物だから、ならず者を組織して賈敬龍の家の違法な取り壊しを命じたのは何建華と考えられる。

(2)賈敬龍の父親が脅迫されて署名した「家の立ち退き協議書」は内容から判断して違法であり、それを根拠に家を強制的に取り壊したことは犯罪行為である。その結果として、家を失い、恋人を失い、結婚を逃した賈敬龍は、精神的に追い詰められて犯行に及んだものである。その境遇には同情すべきものがあると判断するので、情状を酌量し、法の公平の観点から刑の軽減を要請する。

(3)何建華の襲撃後、賈敬龍は自首するために車で長豊派出所へ向かっていた。ところが、何建華の親族に捕まったため、自首することができなかった。彼が逃亡する積りだったならば、別の方向へ車を走らせたはずで、自首する意向であったことは明白である。

【10】10月21日、賈敬龍の姉の“賈敬媛”は、最高人民法院ならびに河北省高級人民法院に宛てて「賈敬龍故意殺人事件死刑執行停止申請書」を提出し、改めて賈敬龍の弁護団が裁判で述べた意見を提起して賈敬龍に対する死刑執行の停止を求めたのだった。