このスモッグの影響で北京市内の高速道路は7本が閉鎖され、西南第六環状線は車両の通行が禁止された。また、市民は外出時にはいつもながらのマスク着用を余儀なくされた。こうした状況を見た多くの北京市民は、鬱憤晴らしに「スモッグの来襲は明らかに第19回党大会の開催を祝っている」、「おめでとう、深刻なスモッグは第19回党大会の時期に我々を再び“仙境(別天地)”に招いてくれた」、「当局が懸命に青天の回復に努力したのは水泡に帰した」などと嘲笑したのだった。

 中国政府“環境保護部”が発表したデータによれば、中国の大都市328カ所の大気質(air quality)は今年上半期で悪化しており、北京市(略称:京)、天津市(津)、河北省(冀)を包括する“京津冀”と呼ばれる北京首都圏では、13の都市が8月の大気質指数(air quality index)が去年同期に比べて低下し、大気中の微粒汚染物質密度は5.4%増大した。

 9月末のメディア報道によれば、中国政府は鉄鋼生産が盛んな河北省の一部都市を含む北方28都市に対して、今年10月から来年3月までの6か月間に空気中の微粒汚染物質を15%引き下げる措置を採るよう命じたという。また、“北京市住房和城郷建設委員会(北京市住宅・都市農村建設委員会)”は9月下旬に厳格な工事停止命令を出し、11月15日から来年3月15日までの4カ月間は北京市内の6つの区、10の新都市区および“大興区”にある“亦庄経済技術開発区”では全ての道路工事、水利工事、住宅の取り壊しや施工工事などが全面的に停止された。

ネットに集まる反発、海外ゴミの輸入は禁止へ

 こうした一連の厳格な命令に対しネットユーザーは政府部門の怠慢と反発し、「大気汚染で人が死ぬ前に餓死させられる」とネットの掲示板に書き込んだし、別のネットユーザーは「当局のやり口は、禁止、取り締まり、罰金の3種の神器で、大気汚染を改善する能力はなく、ただ禁止を命じるだけ」と書き込んだ。また、あるネットユーザーは「このような措置によって損傷を受けるのは庶民の生活であることは疑問の余地がなく、そのうち最も傷つくのは底辺の産業チェーンおよびその従業員である」と書き込んだ。大気汚染を改善するための施策を何一つ打ち出すことなく、ただ闇雲に3種の神器を振り回すだけでは大気汚染解消の道程は遥かに遠いと思えるが、出世と保身しか考えない中国の役人には目先の事しか念頭にないのだろう。

 ところで、中国は2017年7月18日に世界貿易機関(WTO)に対して今年の年末から海外ごみの輸入を禁止すると通告した。海外ごみとは、再利用可能な廃プラスチック、古紙、鉄屑、スラグ、紡織品、家電や電子機器などの資源ごみである。中国は世界最大の資源ごみ輸入国であり、2016年は全世界の資源ごみの56%を輸入した。2016年の廃プラスチックの輸入量は730万トンを上回り、その総額は37億米ドルに達した。また、同年の古紙輸入量は2700万トンに上った。これらの資源ごみは正規・非正規のルートで中国へ輸入され、全国各地の再生処理場を経て再生資源に加工されるが、その過程で水質汚染、大気汚染、土壌汚染などの各種汚染を発生させ、中国の環境破壊に大きく加担してきた。中国が海外ごみの輸入禁止に踏み切ったことは、習近平が第19回党大会の報告の中で述べた汚染源根絶の一環と言って良いだろう。