ところで、古い話になるが、2004年の「動向」誌は以下の内容を報じている。

止まらぬ厚遇

【1】中国共産党中央政治局常務委員、全国人民代表大会常務委員会委員長、国家副主席、中国共産党中央顧問委員会副主任などの役職を退職した高級幹部の年間総支出は3億2600万元(約50億円)に達し、その1人当たりの平均支出額は2725万元(約4億2240万円)であった。また、これより下位の党政治局委員、全国人民代表大会常務委員会副委員長、副総理、国務委員、党中央顧問委員会常務委員、中央軍事委員会委員などの役職を退職した高級幹部105人の年間総支出は6億7100万元(約104億円)で、その1人当たり平均支出額は639万元(約9900万円)であった。

【2】一方、5537人の退職した“省部級幹部(省指導部および中央政府の部長クラス)”には、各人に3~5名の職員が配置され、1人当たりの年間公費支出は70万元(約1085万円)~600万元(約9300万円)に達した。上海市長や党中央顧問委員会委員などを歴任した“汪道涵”(1915~2005年)を例に挙げると、2004年の公表された支出は947万元(約1億4680万円)で、このうち医療費が500万元(約7750万円)に上っていた。また、北京市、上海市、広東省、浙江省、福建省の“省部級幹部”の1人当たり平均の年間支出は500万元以上であった。

<補足>上述した人民元の金額は2004年時点のものであり、それから12年が経過した現在の貨幣価値なら少なくとも5~6倍になるものと思われる。すなわち、5倍でも高級幹部1人当たりの平均支出額2725万元は1億3625万元(約21億1200万円)に、平均支出額639万元は3195万元(約4億9500万円)になるのではないだろうか。

【3】最高級の退職指導者は、専用航空機2機、専用軍用機2機、7両編成の専用列車3本を自由に使うことできる。列車が通過する沿線には武装した警備員が配置され、全ての列車は急行であろうと鈍行であろうと最寄りの駅に停車して道を譲らねばならない。これとは別に、“北京解放軍総医院(略称:301医院)”には3つの医療専門家チーム、“上海華東医院”には2つの医療専門家チーム、“広州軍区総医院”には1つの医療専門家チームが万一に備えて待機している。

【4】その他の政治局委員や副総理クラスの退職高官105人には、各人に護衛2名、運転手1名、職員2名、コック1名、保健医師1名が配置され、乗用車2台が配分される。飛行機に乗る際は、ファーストクラスあるいはビジネスクラスの座席6~8席が貸し切りとなり、列車に乗る際は、一等寝台車1両、あるいはこれに加えて専用車1両が貸し切りとなる。

【5】これ以外に江沢民をトップとする中国共産党の最高指導部の退職者12人は、全国各地に自身の“行宮(行在所)”を持っている。江沢民を例に挙げると、北京市の“釣魚台国賓館”や“玉泉山中央軍事委員会招待所5号楼”、上海市の“西郊賓館”や“大公館”、江蘇省“蘇州市”の“太湖賓館”などである。他の11人も例外なく各地に“行宮”を持っている。たとえば、“李鵬”は北京市、山東省“青島市”、四川省“成都市”に、“朱鎔基”は北京市、上海市、蘇州市に、それぞれ行宮を持っている。

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