長くなったが、以上が牟其中の人物紹介である。まさに波乱万丈の人生と言えるが、現在75歳の牟其中は合計3回の拘留・服役で23年間を社会から隔離されて過ごした。一時はフォーブス誌によって中国国内で第4位の富豪にランクされた牟其中だったが、監獄から出所した彼には資産と呼べるものは何もないだろう。

刑期を終え、なお再起に意欲

 9月27日に洪山監獄へ車で乗り付けて釈放された牟其中を出迎えたのは、牟其中の妻の妹であり、彼の唯一の指定代理人である“夏宗偉”であった。27日の午前中に夏宗偉はメディアに対して「南徳集団理事会の牟其中氏刑期満了釈放に関する声明」を発表したが、その最後に記載されていた南徳集団理事会の署名欄には夏宗偉の名が明記されていた。

 さて、その声明に記されていた内容の概要は以下の通り。

【1】信用状詐欺事件は偽造された証拠に基づき判決が出されたものであり、再審を要求する。牟其中は再審における必勝を確信している。

【2】再審に勝訴したら、南徳集団は直ちに「南徳試験(Ⅱ)」をスタートさせる。それは知恵を中心とする生産方式で、資本を中心とする生産方式に比べて全ての面で生産効率が高い。それを幅広い範囲で実践して証明し、全世界の新しい企業に普及させる。

【3】牟其中氏はすでに数えで76歳だが、健康にはまだ問題がない。最近、彼は「人生すでに齢(よわい)百歳を超えても、再び少年のように奮い立つ感情を持つのを妨げるものはない」という詩を作った。これは宋の詩人“蘇東坡(本名:“蘇軾”)”の詩『江城子・密州出猟』にある「老人である自分にしばし少年の奮い立つ感情を発揮させよ」という一節に相通じるものがあり、牟其中氏は精神的に若く、まだ老いてはいない。

【4】かつての南徳集団は廃墟と化し、何も残っていないが、我々は必ず“東山再起(失脚から再起する)”を果たし、南徳集団を再建してみせる。

 壮年時の牟其中は、身長182cm、体重75kgの頑健な体躯で、押しが強く、怖いもの知らずであったと思われるが、満75歳の今となっては南徳集団を再興することは難しいだろう。しかし、中国に牟其中という波乱万丈な人生を送った人物がいたことは歴史の一コマに刻まれることだろう。天国にいるX氏も牟其中が刑期満了で釈放されたことを喜んでいるに違いない。最後に衷心よりX氏の冥福を祈ります。