1949年10月、“国歌”を演奏する中華人民共和国軍楽隊(写真:Ullstein bild/アフロ)

 9月1日午後、中国の「第12期全国人民大会常務委員会第29回会議」は第3回全体会議を開催し、票決により『国歌法』を採択した。同法は2017年10月1日から施行される。

 中国では1990年に『国旗法』が、1991年に『“国徽法(国章法)”』がそれぞれ制定された。国旗法は“五星紅旗”を国旗と定めているし、国章法は穀物の穂と歯車の丸い縁の中に五つの星と天安門を配した図案を国章と定めている。しかしながら、その後20年以上にわたって『国歌法』は制定されずに放置され、2004年に憲法で国歌は「義勇軍行進曲」と規定されたものの、それ以上の法的裏付けはないままに歌い継がれて来た。2017年6月22日に『国歌法(草案)』が全国人民代表大会常務委員会第28回会議に上程され、8月28日の修正案審議を経て、『国歌法』は9月1日に正式に採択されて成立した。

改ざんによる侮辱には15日以下の拘留も

 国歌法は全16条で構成されるが、重要と思われる条項を示すと以下の通り。

【第1条】国歌の尊厳を擁護し、国歌の演奏・歌唱、放送、使用を基準化し、国民の国家概念を増強し、愛国主義の精神を発揚させ、社会主義の核心的価値観を育成・実践するため、憲法に基づき本法を制定する。

【第2条】中華人民共和国の国歌は「義勇軍行進曲」である。

【第3条】中華人民共和国の国歌は、中華人民共和国の象徴と標識である。全ての国民と組織はすべからく国歌を尊重し、国歌の尊厳を擁護しなければならない。

【第4条】下記の場合は国歌を演奏・歌唱しなければならない。
(1)全国人民代表大会会議と地方各級人民代表大会会議の開幕、閉幕。中国人民政治協商会議全国委員会会議と地方各級委員会会議の開幕と閉幕、(2)国旗掲揚式、(3)重要な外交活動、(4)重要な体育競技会、(5)その他、国歌を演奏・歌唱することが必要な場合、など

【第7条】国歌を演奏・歌唱する時は、その場にいる者は起立しなければならず、国歌を尊重しない行為をしてはならない。

【第8条】国歌の商標や商業公告への使用、個人の葬儀活動など不適切な使用、公共の場所のバックグラウンドミュージックなどへの使用をしてはならない。

【第15条】公共の場で故意に国歌の歌詞や曲を改ざんして国歌の演奏・歌唱を歪曲、毀損した、あるいはその他の形で国歌を侮辱した場合は、公安機関による警告あるいは15日以下の拘留とし、犯罪を構成する者は法に基づき刑事責任を追及する。