2018年4月に中国政府“教育部”は『教育部2018年部門予算』を発表したが、これを見たあるネットユーザーが以下の内容の文章をネット上に書き込んだ。

【1】教育部2018年部門予算の配分は、“小学教育(小学校および中学校)”:4.1億元(約67.7億円)、“高中教育(高校)”:12.2億元(約201.3億円)で、小学校から高校までの合計が16.3億元(約269億円)であるのに対して、“来華留学教育(海外から中国へ来る留学生のための教育)”:33.2億元(約547.8億円)となっている。

【2】中国へ来る留学生の主体はアジアやアフリカの学生であり、彼らの総数は2017年には48.92万人であった。中国の小学・中学・高校の生徒および学生の総数は1.8億人であるというのに、彼らに配分される予算は、海外からの留学生48.92万人に配分される予算の半分に過ぎない。

 この文章はネットユーザーだけでなく、一般大衆の強い不満を引き起こした。これに慌てた教育部は、5月28日付の官製メディア“澎湃新聞”を通じて匿名の関係責任者名で次のように反論をした。すなわち、小学校から高校までの教育に配分される予算が海外からの留学生教育に配分される予算の半分というのは、予算データの誤読である。『教育部2018年部門予算』の中の“小学教育”と“高中教育”に配分される予算の合計額16.42億元は、教育部が直接管理する“高等学校(大学)”附属の小学校・中学校の経費予算であり、全国の小学校・中学校に在籍する生徒および学生の総数1.38億人とは全く関係ない。

 上述した匿名の関係責任者が行った反論には、“高中教育”の高校生を含めずに総数を1.38億人とするなどの矛盾が存在する。中国の統計を調べる限りでは、義務教育(小学校+中学校)段階が1.42億人、“高級中学(高校)”が0.4億人であるから、合計は1.82億人となり、上述の1.8億人は正しい数字と言える。それはさておき、匿名の関係者が「16.42億元は全国の小学校・中学校に在籍する生徒および学生の総数1.38億人とは全く関係ない」というのであれば、1.38億人に配分される予算はいくらなのか明示すべきだが、それはなされていない。

「国内の教育をないがしろに」と批判

 上述したように習近平がアフリカに対し再度600億ドルの経済援助を提供することを表明したのを受けて、あるネットユーザーはネット上に下記のような書き込みを行い、中国政府が国内の教育をないがしろにして、アフリカへの経済支援に注力する姿勢を批判した。

 中国がアフリカに提供する経済援助600億ドルは、中国政府が全国職業教育に用いる予算の1.54倍、就学前教育に用いる予算の3.47倍、高校教育の1.44倍で、全国の“高等教育(大学教育)”支出の95%に相当する。

 中国には依然として廃屋同然の学校で学ぶ生徒や学生が山岳地帯や辺境地域に多数存在するし、都市部では農村部から出稼ぎに来た農民の子女が公立学校から排除されたり、学んでいる民営学校が閉鎖を命じられる事態が多発している。こうした現状を考えれば、中国政府はアジアやアフリカを主体とする低開発国に対する経済援助を行うよりも、自国の教育予算を増大すべきである。しかし、習近平が提唱した「中華民族の偉大な復興」を目標とする“中国夢(中国の夢)”の実現を目指す中国にとって、その重要な方便である「一帯一路」政策の推進には対外経済援助が不可欠なものとなっているのである。