ところで、2015年に南アフリカで開催された第2回中国アフリカ協力フォーラム・ヨハネスブルグサミットに於いても、開幕式で演説した中国国家主席の習近平が今後3年間にアフリカで実施する“十大合作計劃(十大協力計画)”を提案し、それの順調な実施を確保するために600億ドルの経済援助を提供することを表明した。従い、今回の北京サミットに於いて表明されたアフリカに対する600億ドルの経済援助は2回目ということになるので、上述したように習近平は600億ドルの経済支援を「再度」行うと表明したのである。

 このヨハネスブルグサミットで提起された十大協力計画の項目を列記すると次の通り。すなわち、1)工業化協力計画、2)農業現代化協力計画、3)“基礎施設(インフラ)”協力計画、4)金融協力計画、5)緑色発展協力計画、6)貿易・投資促進計画、7)貧困削減・生活支援協力計画、8)公共衛生協力計画、9)人文協力計画、10)平和安全協力計画。

 このうち9)の人文協力計画の詳細は以下の通り。

9)人文協力計画
 アフリカのために5カ所の文化センターを建設する。アフリカのために1万カ所の村落で衛星テレビが見られるようにする。アフリカのために2000個の学歴学位教育の枠と3万個の政府奨学金の枠を提供する。毎年200名のアフリカ学者の訪中と500名のアフリカ⻘年の訪中研修を組織する。毎年1000名のアフリカのニュース領域従業員を訓練する。さらに多くの中国アフリカ直行航空便の開通を支援する。

 上述した2015年に提起された「十大計画」の9)人文協力計画および2018年に提起された「八大行動」の5)人材育成行動は、これらを実行に移せば巨額な資金が必要となることは言わずもがなの話である。

 さて、話は文頭に述べた耒陽市に戻る。耒陽市の父母たちが耒陽市政府に抗議活動を展開した理由は何だったのか。耒陽市については、2018年6月22日付の本リポート「中国・市政府の給与遅配で露呈した財政収支悪化」で、同市の財政が破たん寸前の状況にあり、職員給与の支払いすらままならず、財政移転による資金補填に頼るしかない現状にあると報じた。

財政逼迫、教育予算も行き詰まり

 財政が逼迫している耒陽市では、職員給与のみならず、教育に回す予算も行き詰まっている。耒陽市では2000年頃から市内の農村部に暮らす農民が都市部へ転入するようになり、都市部の市街地では人口が年々増大を続けている。耒陽市内の或る村では40戸の農民グループの中で6戸を残して34戸が都市部へ移住した例もあるという。このため、農村部から転入して来た子供の人口は大幅に増大し、義務教育である小学校や中学校の校舎を可及的速やかに増設する必要に迫られているが、市財政の逼迫による教育予算の不足で校舎を建設する資金がない状況にある。

 そこで、⽾陽市政府が苦肉の策として捻出したのは、「56人以上となっているクラス定員を解消するべく生徒・学生の配置転換を行う」という“大班額化解分流方案”であった。それは公立学校の小学5~6年生の生徒を、教員の質だけでなく校舎の条件も悪い民営学校へ移動させるというものであり、それは父母に支払能力を超えた1万元(約16.5万円)近い学費の負担を強いるものだった。“分流(配置転換)”された生徒は約8000人で、そのうちの約7000人が民営の“湖南師範大学附属中学耒陽分校”への転校を命じられたのだった。