中国では“兵役登記(兵役登録)”という規則があり、毎年12月31日までに満18歳になった男性国民は『兵役法』に基づき、兵役登録の義務を履行することが規定されている。なお、毎年12月31日までに満17歳で18歳になっていない男性で高校(中等専門学校、高等職業校、技術学校を含む)卒業生は本人の意思で兵役の志願登録ができる。兵役登録の期間は、翌年の1月1日から6月30日まで、志願登録は1月1日から8月5日までとなっている。また、女性については、必要に応じて男性に準じた形で徴兵を行うとある。

 『兵役法』に基づいて制定された『徴兵工作条例』の第3条には、「毎年12月31日以前に満18歳の男性国民は招集されて兵役に服さねばならない。その年に招集されなかった者は22歳以前までは依然として招集されて兵役に服す可能性がある」とある。要するに兵役登録して自ら志願する人で新兵枠が埋まれば問題ないが、志願者だけでは足りない時には22歳までは招集される可能性があるということである。但し、現実には志願者だけで枠が埋まっているので、兵役登録は形式だけで志願しない限り兵役の義務からは免れる。

一人っ子政策下の“90后”

 かつて解放軍兵士と言えば、苦しい環境で育った農村部出身者で構成されていたが、今やその主体となっているのは“90后(1990年代生まれ)”の都市部出身者であり、その多くが一人っ子である。今年、徴兵検査を受けたのは、昨年(2016年)12月31日までに満18歳になっていた1998年生まれの“90后”である。

 中国は1992年の“春節(旧正月)”に“鄧小平”が行った“南巡講話”を契機として「社会主義市場経済」の構築を掲げて経済発展を進め、飛躍的な経済成長を遂げた。2004年には名目GDPでイタリアを抜き世界第6位の経済規模となり、2006年には英国、フランスを抜いて世界第4位、2007年にはドイツを抜いて世界第3位、2010年には日本を抜いて世界第2位の経済大国となった。

 1998年生まれの若者は、中国が経済の躍進を遂げ、富裕化する中で成長した。彼らの大多数が“独生子女政策(一人っ子政策)”の強制を受けた一人っ子であり、両親のみならず、父方と母方の祖父母からも可愛がられ、甘やかされて育った。衣食に不自由はなく、何か欲しい物があれば買ってもらえる。そんな環境の下で育てられた彼らが人民解放軍の兵士を志願して、徴兵検査を受けた結果が不合格率56.9%につながったのだった。これは某市で行われた徴兵検査の結果であって、全国を総合した結果ではないが、恐らく各地の結果は似たり寄ったりではないだろうか。

 親のすねをかじって怠惰な生活を送り、毎日パソコンやスマホでゲームに熱中し、好き嫌いが激しくて偏食し、大量の炭酸飲料を飲み、就寝は深夜で起床は昼前。こうした日々が続けば、自ずと肥満になって脂肪肝や高血圧になり、近視の度が進み、やることがないからオナニーにふける。流行だからと身体に入れ墨をいれる輩(やから)も出てくる。そんな彼らが徴兵検査を受けたところで、合格する可能性は高いはずがない。某市で合格した43.1%の若者たちにしても、全員が立派な人民解放軍の兵士になれるという保証はないのだ。