その後、郭美美が優雅な生活を享受できていたのは、“王軍”という人物から援助を受け入れていたからであることが確認された。しかし、郭美美が中国紅十字会と無関係であるか否かにかかわらず、この事件を契機として中国国民の視線は中国紅十字会のカネの流れに向けられることになったのである。それは下記する事情によるものだった。

四川大地震の寄付金、用途公表は約23%だけ

【1】2009年に“清華大学”の“鄧国勝”教授をリーダーとするグループが発表した『四川大地震寄付金の流れに関する研究報告』によれば、2008年5月の四川大地震発生から半年後の11月末までに、被災地支援の名目で全国から集められた寄付の総額は762億元(約1兆2192億円)で、寄付金だけで652億元(約1兆432億円)あった。これは史上最高の寄付金額で、1996年から2007年までの12年間に全国で受け入れた寄付の総額557億元(約8912億円)を上回った。なお、その内訳は寄付金が420億元(約6720億円)、物品が137億元(約2192億円)であった。

【2】寄付金652億元は以下の3つに分類される。
(1)政府が直接受け取ったもの:379億元(58%)
(2)各地の紅十字会、慈善団体および公募基金会:199億元(31%)
(3)中国紅十字会、“中国慈善総会”および16の全国規模の公募基金会:74億元(11%)

【3】しかし、これら寄付金に関する情報は公表されておらず、600億元以上の寄付金に関する流れや用途が不明のままとなっていた。四川大地震から1年後の時点で、寄付金の流れを知っていた寄付者は4.7%に過ぎす、66.7%の寄付者たちは寄付金の流れを知らなかった。

【4】鄧国勝教授のグループが上記3分類の寄付金に関してその流れと用途を追跡調査した結果を総合すると、四川大地震で集まった652億元の寄付金のうちで、用途の明細が公表されたのは約23%の151億元(約2416億円)だけで、約77%を占める残りの501億元(約8016億円)について明確なことは何も把握できなかった。

【5】四川大地震は中国国民の温かい心を揺り動かすと同時に寄付ブームを巻き起こしたが、管理能力に欠けた少数の独占的地位を持つ募金機構が膨大な資金や物資を取り扱ったことにより、被災地の救済過程で少なからぬ管理上の手抜かりが発生した。募金機構が集めるカネが多くなればなるほど、人々の懸念は大きくなり、寄付金の流れや用途に対する社会的な追及は厳しいものとなる。この結果、募金機構が直面する資金の使用リスクと社会的圧力はより高いものとなる。