ところで、九寨溝地震の発生から2時間後に、中国の俳優で歌手の“黄暁明”(1977年11月生まれの39歳)は自分が設立した慈善団体“明天愛心基金会”を通じて九寨溝地震被災地の救済と再建を支援する目的で50万元(約800万円)を寄付する旨をインターネット上で表明して、人々からの寄付を募った。黄暁明は2008年5月12日に発生した“汶川大地震(四川大地震)”(以下「四川大地震」)の時にも自ら救援活動に参加したし、2013年4月20日に四川省“雅安市”で発生したM7.0の“雅安地震”でも救援活動に参加して、負傷した子供を救助したことがあった。

莫大な寄付金を誰が管理するのか

 こうした経験を持つことで知られる黄暁明が、九寨溝地震の被災地に対して支援金として50万元を寄付する旨を表明して大衆からの寄付を募ったことに対し、多くのネットユーザーから“熱心(心が温かい)”、“太美麗了(何とすばらしい)”、“大災面前見仁義(大きな災害を前にして仁義を見た)”などという賛辞が殺到した。しかし、こうした賛辞とは裏腹に多数のネットユーザーから寄付金の行方に対する懸念が表明されたのだった。それは、“海量捐款誰来監察(莫大な寄付金を誰が管理するのか)”、“能保証没被耗子偸吃?(ネズミ<=汚職役人>に食べられないと保証できるのか)”、“又要譲貪官有発財機会(またもや汚職役人に金儲けの機会を与えるのか)”などという内容だった。

 黄暁明の寄付表明はネットユーザーの間に「寄付すべきか、寄付すべきでないか」という論争を改めて引き起こした。この論争が始まったのは、2011年6月20日にネット上で“中国紅十字会(中国赤十字会)”の略称である“紅会”を肩書として、ブランド品に囲まれた優雅な生活をひけらかし、“郭美美baby”の愛称を用いて一夜で有名になった“郭美美”(本名:“郭美玲”)<注>によるものだった。その後の調査で判明したところでは、郭美美が肩書として名乗っていた“紅会”とは、“中国紅十字商業”という民間企業を指し、彼女はそこの“総経理(社長)”であり、中国紅十字会とは何らの関係も持たないものだった。

<注>郭美玲は2014年7月に賭博の容疑で逮捕され、2015年9月に賭場開設罪により懲役5年、罰金5万元(約80万円)の判決を受け、湖南省の女子刑務所で服役中。