7月22日、この王清飛がひざまずいて大賢村の村民を慰めている場面の動画がネット上に配信され、当該動画は邢台市の“微信(WeChat、日本のLINEに相当)”のネットワークを通じて瞬く間に流布した。この動画が邢台市の人々の間で話題に上ると、メディアは王清飛にインタビューして、ひざまずいた理由を尋ねたが、彼は「当時は村民たちの情緒が非常に不安定になっていたので、村民たちを慰めて理解を得ようとした」のだと述べた。この記事が報じられると、人々は王清飛が同情するポーズを見せただけで、何も悪い事はしていないと思っているに違いないとして非難が殺到した。

抗議の村民は強制排除

 一方、22日の午後には大賢村の村民1000人以上が死者の遺骸を担ぎ、大賢村を通る国道107号と省道326号を占拠して、突然のダム放水による洪水の発生に抗議した。東汪鎮政府は大量の警察官を現場へ急行させて武力で村民たちを道路から強制排除した。この時も王清飛は現場に出向き村民たちの排除に協力していたという。

 当時、現場でメディアのインタビューに答えた村民の1人は次のように述べた。

 大賢村は七里河の北岸に位置し、七里河に隣接している。20日午前1時頃、洪水は突然大賢村に流れ込み、瞬く間に水面は屋根を超えて2mに達し、熟睡していた村民たちは虚を突かれて洪水に対処できず、村全体は見渡す限り水に漬かった。現時点で、すでに洪水により多数の死者が出ていることを確認しており、2人の子供が行方不明となっている。

 7月23日夜、邢台市政府は洪水発生後で第2回目となる“抗洪救災(洪水と闘い、被災者を救済する)”の記者会見を開催した。席上、市長の“董暁宇”は、今回の洪水防止ための応急措置は予断が不十分であり、幹部の洪水防止の応急対応が不十分あり、統計的な分析が不十分であったことから、市民を洪水から守ることができなかったと述べ、社会全体に対して陳謝すると同時に、市民の生命財産を守ることができなかったことに対して自責と後悔の念にさいなまれている旨を表明した。

 中国で政府のトップが公開の場で謝罪を表明することは滅多にないことで、董暁宇の潔い態度は人々を驚かせたが、それだからと言って、人々に周知徹底せぬままダムの水を放水して七里河を氾濫させ、洪水によって大賢村の多くの村民を死に至らしめた罪は消えない。市長が謝罪する前の段階では、邢台市政府は“泄洪(ダムの水門を開いて放水すること)”は人命にかかわる重大事なので、4時間半前に村人たちへ“微博”を通じてダムの放水を通知したと述べて、政府側に落ち度はなかったと主張していたのだった。