ロバの妊娠期間は14カ月に及び、基本的に母ロバは1頭の子供しか産まない。農家がロバを飼う目的は労働力だから、できる限りロバを妊娠させないようにする。このため人間が増やそうとしないかぎり、ロバの数は増えない。従って、上述のように毎年30万頭のロバが減少しているということは、ロバの出生数以上のロバが処理されて皮になっていることを意味するのである。それなら、国内で不足するロバをどう調達すれば良いのか。その解決策はただ一つ、当然ながら「外国から調達すればよい」ということになる。

 米国テキサス州の野生馬自由連合会(Wild Horse Freedom Federation)は、米国の野生ロバが違法に捕獲された後にメキシコへ運ばれて処理され、その皮が中国へ転売されていると報告している。また、パキスタンはロバ皮の輸出を禁じているが、ある地方政府は中国向けに毎年8万頭のロバを輸出する契約に調印したという話も伝わっている。しかし、これはほんの序の口で、実態はもっと深刻なものだった。

ブルキナファソとニジェールは輸出禁止

 2016年9月29日付の米国CNNは次のように報じた。

【1】西アフリカのブルキナファソ政府は、2016年8月にロバ皮の輸出を禁止した。ブルキナファソには140万頭のロバが飼育されているが、“阿膠”の原料を求める中国がロバ皮の輸入を開始したことにより、ロバの飼育数維持が困難になったため輸出禁止を断行したという。ロバ皮の対中輸出は2015年第1四半期に1000頭分であったものが、同年第4四半期には1万8000頭分になり、2016年上半期には6万5000頭分に増大した。

【2】同じく西アフリカのニジェールは、2015年に2万7000頭分のロバ皮を中国へ輸出したが、2016年1~9月で8万頭分のロバ皮を対中輸出した。ニジェールではロバ1頭の価格が以前の34米ドルから145米ドルへ急騰したが、ニジェール政府は国内のロバが絶滅する恐れがあるとして、2016年9月にロバの輸出を禁止した。

【3】ブルキナファソとニジェールにとって、ロバの価格上昇は外貨収入の増大をもたらすが、その経済成長には代償が伴う。すなわち、ブルキナファソのある村では、ロバの処理場が建設されたことにより、処理場から出た血や内臓が水源を汚染した。また、ロバ取引が繁栄したことにより、その他の家畜の価格も上昇してインフレが引き起こされた。

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