これは男性にしか分からない話だが、睾丸を何かの拍子に強打したり、誰かに蹴とばされたりした時の痛みと苦しみは拷問を受けるに等しい。雷洋のように睾丸が大きく腫れ上がるほどの強烈な打撃を受ければ、被害者は激痛にのたうち回り、呼吸することすらもままならなくなり、胃の内容物が逆流して気道へ入ることは十分に考えられる。恐らく、雷洋は彼を逮捕した私服警官たちに殴る蹴るの暴行を加えられたのだろう。その最中に警官たちのうちの誰かが面白半分に雷洋の股間に狙いを定めて強烈な蹴りを入れたところ、激痛に身をよじらせていた雷洋が突然死亡したというのが真相なのではないか。当事者たる私服警官たちは、雷洋の死因が胃の内容物が逆流して気道へ入ったことによる窒息死とは知らないから、「突然の心臓病で死亡した」と口裏を合わせることにしたのだろう。

口裏合わせに綻び

 死因を心臓病にすれば、何とでも言い訳はできるが、問題は雷洋を逮捕した正当な理由である。雷洋を逮捕したのは、職務質問しようとしたら反抗的な態度を取ったためだったが、それだけの理由で逮捕した雷洋が取調べのための移送中に死亡したというのでは説明がつかず、大問題になりかねない。そこで考えたのが、死亡した雷洋を彼らがおとり捜査を行っていた足療店で買春した容疑者に仕立てることだった。死亡した雷洋を付近の“昌平区中西結合医院”へ搬送した後、部下の警官たちを引き連れた邢永瑞は足療店を急襲して売春の違法犯罪容疑で同店の男性従業員1人とマッサージ嬢4人を逮捕し、彼らに雷洋が同足療店でマッサージ嬢を相手に買春を行ったと証言することを強要したものと考えられる。

 それが証拠に、5月11日に“中央電視台(中央テレビ)”がニュースの中で放映した雷洋の相手をしたマッサージ嬢へのインタビューで、同嬢は雷洋が着ていた服は黒色で、“打飛機(手コキ)”のサービスを行ったと述べた。しかし、実際に雷洋が着ていた服は白色であった。また、北京市公安局昌平分局の発表では、雷洋が200元(約3200円)を支払って“大保健(本番)”を行ったことは、現場から押収したコンドームのDNA検査で証明されたとしている。相手をした女性が雷洋に施したサービスは“打飛機”と言っているのに、肝心な警察側が“大保健”と言っていることは、大きな矛盾である。“打飛機”にコンドームは使わない。現場付近の監視カメラの映像から判明していることは、雷洋が足療店に立ち寄って買春したとしても、それに使える時間はわずか9分しかなく、買春が物理的に不可能なことは明白である。