2015年に発表された広場舞関連業界に関する報告書『中国広場舞業界研究報告』によれば、全国の広場舞人口は8000万人から1億人の間で、増大を続けているという。広場舞の商業的な価値は、中国最大のネットショッピングモール“淘宝(タオバオ)”だけで、広場舞関連の音響、“看劇機(携帯DVDプレーヤー)”、衣装の3種類に限定した月間販売額は2500万元(約4億円)に上るというから、年間では3億元(約48億円)になる。これをネットショッピング業界全体で考えれば、数倍の規模になるだろうし、一般の店舗販売額は少なく見積もってもネット販売の10倍というから、全体の販売額は巨大であり、その潜在力は極めて大きい。

広場舞人口1億人、衣装代総額は500億元

 “国家統計局”の『2016年国民経済・社会発展統計公報』によれば、2016年12月末時点における中国の人口は13億8271万人で、そのうち60歳以上の人口は2億3086万人で全体の16.7%を占め、65歳以上の人口は1億5003万人で全体の10.8%を占めた。2016年12月末時点の60歳は1957年生まれだから、彼らは“50后(1950年代生まれ)”に属するが、次の世代である“60后(1960年代生まれ)”と“70后(1970年代生まれ)”の合計人口は4.4億人である。13年後の2030年には1970年生まれの人が60歳となり、その後は60歳以上の人口が毎年増大して、2039年には4.4億人が全て60歳以上になる。一方、2017年1月に“国務院”が発表した『国家人口発展計画(2016~2030年)』によれば、中国の人口は2030年には14.5億人となり、60歳以上の人口は全体の25%前後になると予想されている。25%は3.6億人だが、上述のように2030年以降も60歳以上の人口は増加を続けるので実際の数字は4億人以上になるはずである。

 今後増大を続ける老人人口を対象とするビジネスにとって、2015年時点で8000万~1億人と推定される広場舞人口は大きな魅力である。彼らが1人当たり100元(約1600円)の広場舞用の衣装を購入すると仮定すれば、その総額は80億元(約1280億円)~100億元(約1600億円)となる。広場舞に参加している老人男女に衣装代として受け入れ可能な金額を調査した結果は、1年間に衣装4着として年間500元(約8000円)であった。1億人が1人当たり年間500元を衣装代に使えば、その総額は500億元(約8000億円)ということになる。広場舞の流行がいつまで続くかは分からないが、中国企業は広場舞人口をいかに取り込むかを競い、知恵を絞っている。企業の中には、著名な広場舞グループに資金提供して販売活動を展開するところも出現しているのである。