不払い騒動をきっかけに発覚

【4】事件に関する警察側の説明は以下の通り。

(a)2014年末に鑫海鉄鉱所で鉱山事故が発生し、死者が出た。鑫海鉄鉱所の記録では死者は雲南省の人間だった。鉱山主は監督官庁に鉱山事故の発生を報告せず、密かに死者の家族と話を付け、賠償金68万元(約1080万円)を支払うことで示談にした。ところが、支払った賠償金が巨額であったことから、鑫海鉄鉱所は資金のやりくりがつかなくなり、50人以上いる鉱夫に給与を支払えなくなった。このため、鉱夫たちが集まって給与の支払いを求める騒動を起こしたことで、警察側が事態を知ることになり、鉱山事故の調査が行われた。

(b)警察側が調査を行っている間に奇妙な事実が判明した。それは、鉱山事故が起こり1人の死者が出たというのに、その死者が今なお雲南省でホテルに宿泊し、車に乗っている記録の存在が確認されたのだった。雲南省の警官が死者の戸籍所在地である雲南省昭通市に赴いて調べたところ、何と死んだはずの当人は生きていることが判明したのである。この事実から事件は単なる鉱山事故ではなく、故意殺人により賠償金を騙し取る、極めて悪質な刑事犯罪であることが確認された。

(c)警察側は迅速に行動に移り、2015年8月に雲南省と隣接するミヤンマーで鑫海鉄鉱所殺人事件の容疑者4人を相次いで逮捕した。彼ら4人は全員が初犯ではなく、すでに何人もの殺人事件に関与していた。彼ら4人の取調べ中の供述から同種の事件に関与した34人が浮上し、その34人の逮捕後の供述から新たに36人が犯罪容疑者として浮上し、最終的に警察側は合計74人を盲井殺人事件の容疑者として確認したのだった。

(d)こうして、6つの省・自治区にまたがり、5年以上にわたって暴力的手段で同僚の鉱夫を死に至らせた上で、鉱山事故を偽装して賠償金を騙し取る大型犯罪組織が暴かれた。一連の盲井殺人事件の主犯である艾汪全は2015年9月に浙江省“温州市”で逮捕された。

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