2017年5月28日付のニュースサイト“毎日頭條”は「果物・野菜に含まれる残留農薬が人々の生命に危害を及ぼすが、我々はどうしたらよいのか」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

 近年、農産物の残留農薬による中毒事件と輸出検査で差し止めとなり罰金を受ける事件が頻発している。関係資料によれば、全国で発生する農薬による急性中毒は年平均で10万件以上に上っている。具体的には次の通り。

 2011年:中国政府“衛生部”が受領した残留農薬による食物中毒報告は981件で、中毒者5万5715人、死亡846人。

 2013年:衛生部が「中国疾病予防抑制センター」のインターネットシステムを通じて受領した残留農薬関連の食物中毒報告は、全国で1296件、中毒者7万8063人、死亡1096人、100人以上の食物中毒事件は27件だった。

 2015年:「国家衛生・計画出産委員会」(旧・衛生部)は9月12日付で、「8月だけで、全国で残留農薬関連の突発性公共衛生事件は230件、中毒者8929人、死亡124人」と発表した。

国家基準で抑制するが…

 中国は2005年に国家基準を制定して、食品中の残留農薬制限量を明確に規定した。その後、2006年に『農産物品質安全法』、2007年に『農薬管理規定』、2009年に『食品安全法』を公布し、2010年に「残留農薬基準審議委員会」を設置して残留農薬の抑制に努めている。

 国家基準は79種類の農薬について32種類の“農副産品(農産物と副業性産物)”に対する残留農薬制限量を規定している。しかし、農民の農薬や国家基準に対する知識不足、さらには悪徳商人による禁止農薬や制限農薬の違法販売が横行しており、収穫量を増やしてカネを稼ぎたい農民たちは、禁止農薬や制限農薬などを気にすることなく、増収だけを念頭に農薬を過剰に散布するのである。そこには残留農薬の危険性などは考慮の外にある。

 筆者の友人でもある日本を代表する中国農業の専門家は、かつて中国最大のニンニク産地である山東省“済寧市”の“金郷県”を訪れた時のことを語ってくれたが、過剰な農薬散布が行われた結果、ニンニクの茎や葉が白色の農薬で覆われていて、驚くと同時に、中国産のニンニクはできるだけ食べないようにしようと思ったとのことだった。「かつて」が何年前かはうっかりして聞き忘れたが、輸出商品であるニンニクに過剰な農薬散布が今なお行われているとは思えない。しかし、中国では残留農薬の危険性が解消されることなく、依然として存続していることは事実だろう。だからこそ、上述した「農薬の中に浸かる中国人」の記事に人々は大きく反応したのだろうが、残留農薬の危険性を抜本から改善できなければ、鐘南山が予測しているように、残留農薬の影響を受けて、50年後に中国人は子孫を残せなくなる可能性があるのだ。