中国の高速道路は日本の15倍の長さ

 一方、中国政府“国家統計局”発表の『2017年国民経済・社会発展統計公報』によれば、2017年の貨物輸送総量は479.4億トンで、その内訳は、鉄道輸送:36.9億トン(総量に占める比率7.7%)、道路輸送:368億トン(同76.8%)、水路輸送66.6億トン(同13.9%)となっている。実に貨物輸送総量の8割近くが道路輸送で占められ、その多くがトラックによって輸送されているのである。

 2017年7月に中国政府“交通運輸部”が発表したところによれば、中国の高速道路の総延長距離は13.1万kmで、2012年末から4万km増大して世界一であるという。日本の高速国道の総延長距離が2017年末で8776kmであることを考えると、中国の高速道路は日本の何と15倍の長さである。それだけ距離が長い高速道路を使って全国各地へ貨物を輸送するトラック運転手の仕事が過酷なものであることは疑いの余地はない。

 その彼らを待ち受けるのが交通警察や道路運輸管理局による検問であり、積載荷重超過や荷締め不足、タイヤの空気圧不足などの理由で難癖をつけて罰金を科し、時として見逃しを条件に賄賂を要求する。また、各地政府が独自に定めた非公式な道路通行料や渡橋料の支払いを要求される。こうした関門がトラック運転手を悩ませ、彼らの収入を圧迫することになる。

 一方、検問を行う交通警察官や道路運輸管理局の職員は、気分が良ければ検査も適当だが、気分が悪ければ徹底的にあら探しを行い、片っ端から罰金を科す。これではやられる側のトラック運転手はたまったものではない。こうした不満を取りまとめたのが上記の「中国政府のトラックに関する10の罪」なのである。

 トラックの燃料であるディーゼルオイルの価格は、2017年10月12日に1リッター当たり6.08元(約103円)だったものが、その後は徐々に値上がりし、現在(2018年6月11日)は6.79元(約115円)となり、8カ月間で0.71元(約12円)の値上がりとなっている。これに引き換え運賃は安いままに据え置かれている。あるトラック業者は以下のように述べている。

【1】40トンの貨物を積載できるトラックで、山東省“済寧市”から200km離れた江蘇省“徐州市”まで貨物を運ぶ場合、所用時間は5時間、人員は2人で、運賃は1トン当たり45元(約765円)の計算で1800元(約3万600円)である。しかし、道路通行料だけで280元(約4760円)、これに燃料を加えると700元(約1万1900円)になる。人件費は運転手が300元(約5100円)、護衛が100元(約1700円)であるから、これら諸経費を合計すると1380元(約2万3460円)となり、手元に残るのは420元(約7140円)。これでは事故を起こしたりして賠償が必要となれば利益が吹っ飛ぶ。

【2】そればかりか、検問で積載荷重超過と判定されて1回200元(約3400円)の罰金を払ったら赤字しか残らない。時には貨物の依頼主からの支払いが延滞して、いつになったら入金するか分からないこともある。したがって、トラックを積載荷重の限度内で営業していては赤字になり、積載荷重超過を前提に営業しないと利益が出ない。40万元(約680万円)でトラックを1台購入して運送業を始めたが、仕事をすれば赤字、しなければ赤字で、身動きが取れず、トラックを売りたくとも買手がいない。これでは如何ともしがたく、やっていられないというのが本音である。