さて、現在、孔令輝が所有する車はポルシェ・ボクスター(Porsche Boxster S)で、その価格は110万元(約1800万円)であるという。社会主義市場経済を建前とする中国で卓球の国家女子チームの監督が、どうしてこのような高級車を所有できるのか疑問だが、孔令輝が裕福であることは間違いのない事実である。今回のMarinaによる香港高等法院への訴訟提起に対して、孔令輝はカジノでは親戚・友人が賭けるのを見ていただけで、手助けはしたものの自身は賭博を行っていないと弁明している。しかし、Marinaとの間で交わした融資契約には孔令輝の名前が明記され、恐らくサインもあるだろうから、孔令輝自身が賭博を行ったことは間違いのない事実だろう。

 それならなぜ、孔令輝はMarinaから融資を受けた100万SGDの残金45.5万SGD(約3640万円)を返済しないまま放置したのか。45.5万SGDは人民元では約224万元であるが、孔令輝にとっては返済できない金額ではない。この理由について、中国のネットユーザーは、中国の外貨準備高は2017年5月末時点で3.19兆ドルと2011年12月以来の低水準にあり、2016年末に中国の中央銀行である“中国人民銀行”が個人の年間外貨購入枠を5万米ドルに制限したことが原因ではないかと述べている。但し、真相は分からない。

残金返済も、復帰の道は険し

 なお、6月2日付の香港紙「星島日報」によれば、6月1日までに孔令輝は一緒にシンガポールへ旅行した友人と交渉した後、別の友人を通じてMarinaに対して残金に利子と弁護士費用を加えた約50万SGD(約4000万円)を支払ったいう。上述した外貨規制をどのようにくぐりぬけて50万SGDもの大金を工面できたのか。とにかく、返済を受けたMarinaは、弁護士を通じて香港高等法院への訴訟を取り下げた模様である。

 Marinaは孔令輝に対する訴訟を取り下げたが、だからと言って、孔令輝が中国卓球女子チームの監督に復帰できる可能性は極めて小さいとメディアは報じている。2017年世界卓球選手権ドイツ大会から孔令輝が急きょ帰国したことにより中国卓球女子チームの臨時監督には、ベテランコーチの“李隼”(53歳)が就任した。当初は突然の監督交代に女子チームの選手たちに動揺はあったものの、それが選手たちに危機感と責任感を呼び起こし、宿敵の平野美宇を打ち破ってリベンジを果たし、シングルス、ダブルス共に優勝を獲得したのだった。

 最終競技結果は以下の通り。

【女子シングルス】優勝:丁寧、2位:朱雨玲、3位:平野美宇
【女子ダブルス】優勝:丁寧・劉詩雯、2位:“陳夢”・朱雨玲、3位:伊藤美誠・早田ひな

 中国のスポーツを統括する“中国国家体育総局”は今回の事件に激怒しているとのことで、今後、孔令輝に対してどのような処罰が下されるか、中国国民はその動向を注視している。