“中国人民大学”の「国家発展・戦略研究院」副院長の“聶輝華”教授は、汚職腐敗官員が自殺するのは3つの利点があるからだと述べているが、その3点は以下の通り。

(1)汚職腐敗行為の証拠を消し去り、同僚を守る。
(2)家族が持つ既得利益を守る。
(3)犯罪者となって侮辱を受けるのを免れ、自身の名声を守る。

正規の治療を受けているのはわずか4.9%

 ところで、広東省“広州市”に本部を置く週刊紙「南方週末」は2018年2月1日号で『“抑郁症氷山(うつ病氷山)”』と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

【1】世界保健機関(WHO)は、2020年までにうつ病が“心脳血管病(心臓・脳血管疾患)”に次ぐ人類にとって第2の重大疾病となると予測している。毎年うつ病を原因とする自殺で死亡する人は100万人に上るが、うつ病の発症率は11%だから、10人に1人がうつ病になる可能性がある。2009年に英国の医学雑誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された論文には、中国でメンタルヘルスサービスを必要とする人は2.48億人に上っているが、そのうちで専門家の支援を求めたことのある人は8%であり、正規の治療を受けているのはわずか4.9%に過ぎないと書かれている。

【2】1カ月前(2018年1月)に中国で最大の民営精神専門医院である“温州康寧医院”が株式上場を果たして社会に波乱を引き起こしたが、その株主を呼び込むためのキャッチフレーズは「中国では精神病を患う人の数が急速に増大している」という文句だった。これより9年も早い2009年に“中国疾病予防制御中心(センター)”の「精神衛生センター」が発表したデータによれば、中国には各種の精神障害患者が1億人以上いて、そのうちの1600万人以上が重度の精神障害患者数であるという。従い、中国の総人口は13.9億人(2017年末時点)だから、国民の14人に1人は精神障害患者であるということになる。

【3】現在の中国には1億人以上の精神障害患者がいて、そのうちの1600万人以上が重度の精神障害者である一方で、うつ病の患者は約8000万人いると推定されている。しかし、2015年の“衛生統計年鑑”のデータによれば、中国には精神科の資格を持つ専門医は2万7000人、心理治療士は5000人余りで、合計3万2000人しかいないのが実情である。中国の精神衛生に携わる医師と看護師の人数は増加が緩慢で、世界の中高所得国の平均水準が人口10万人当たりの精神科医師は2.7人、精神科看護師は5.35人であるのに比べて大きな差がある。

【4】ところが、南方週末の記者の調査によれば、中国国内には精神科の専門医と心理治療士が合計3万2000人いるというデータには多大な水増し分が含まれていて、14%の精神科専門医は何らのトレーニングを受けたこともないし、29%の人は大学の教育証明書を持っているだけだという。中国では精神衛生に携わる医師と看護師の社会的地位は低く、福利厚生も劣ることから、全体の素質も低いのが実態で、精神科の医師は専門医師と言える水準には到達していないのである。

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