2017年4月にシンガポールの華字紙「聯合早報」は「データが示す党18期全国大会以降の官員自殺者数の顕著な増大」と題する記事を掲載して下記の内容を報じた。

(1)“北京師範大学”政府管理研究院の院長“唐任伍”は、“反腐敗(腐敗反対)”と自身の能力が新しい情勢下の業務要求に追い付かないことが、官員に対する圧力を倍増する原因であると分析した。その圧力によって精神的に追い込まれた官員の多くが“抑郁症(うつ病)”を発症するのである。

(2)“中国科学院”の“心理研究所”「国家公務員心理健康応用研究センター」の研究データによれば、2009年から2016年までに自殺した官員の人数は243人だが、年毎の人数は以下の通り。

 2009年:21人、2010年:25人、2011年:22人、2012年:17人、2013年:10人、2014年:59人、2015年:50人、2016年:39人 <累計:243人>

(3)自殺した官員の人数は、党18期全国大会後の最初の年(2013年)に10人まで減少したが、その翌年(2014年)には5倍に増大して59人になった。その後は減少に転じて2016年には39人になったが、それでも党18期全国大会の前年(2011年)の22人よりも明らかに数字は大きい。一方、中国政府寄りの学者による統計によれば、官員の自殺で最も一般的な方式は“跳楼(ビルからの飛び降り)”であり、その主な原因は“抑郁症(うつ病)”である。

国監察委の設立と関係あり?

 さて、米国の中国語ニュースサイト「“阿波羅新聞網(アポロニュースネット)”」は2018年5月29日付で、「1カ月足らずで7人の官員が自殺、状況の異常が関心を集める」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。

【1】1カ月足らずの間に、中国の官界では少なくとも7人の官員が自殺をはかり、そのうち6人が死亡した。ある人権活動家は、その原因は2018年3月に新設された“国家監察委員会”(以下「国監察委」)と関係があり、官員は国監察委に調査されるのを恐れて自殺を選択するのだと思うと述べた。また、ある憲法学者は、“中国共産党中央委員会”(以下「党中央」)による腐敗反対活動が一向に手加減されないため、一部の官員たちは疑いなく恐慌を来し、長期にわたって巨大な心理的圧力を受けている。中国共産党第19期全国代表大会で新たな腐敗反対専門部門として国監察委が設立されたことは、党中央が汚職腐敗行為に対する処罰に改めて注力することを意味する。

【2】メディアによれば、5月に相前後して少なくとも7人の官員が自殺した。自殺したのは、浙江省“寧波市”党委員会宣伝部副部長の“胡虎森”(享年47歳)、北京市政府副秘書長の“王暁明”(享年58歳)、江西省“上饒市”の“広豊区”副区長で公安局長の“鄭金車”(享年53歳)、江蘇省“建湖県”老幹部局長の“成萬東”(享年不詳)、“天津農商銀行”党委員会書記兼“董事長(頭取)”の“殷金宝”(享年54歳)、浙江省“衢州市”紀律委員会書記で監察委員会主任の“李伯来”(45歳)の7人だったが、李伯来を除く6人は全員が死亡した。

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