【8】一方、メディアは家族から聴取した事を根拠に次のような疑問を提起した。

遺族から4つの疑問

(1)雷洋は毎週のようにサッカーをしており、健康そのものだった。それがなぜ突然体の変調を来して死亡したのか。彼には心臓病の病歴もなかった。

(2)家族が雷洋の遺体と対面を許された時間は5~6分に過ぎず、遺体には白布が掛けられていた。このため、遺体の一部分しか見れなかったが、頭部と腕に明らかなうっ血があったほかは、さほどの外傷は認められなかった。逮捕しようとする警官と激しく揉み合ったり、車から飛び降りたのであれば、多数の外傷があってしかるべきだが、それはなぜか。

(3)雷洋は搬送されて22時5分に医院へ到着し、22時55分に死亡が確認された。いずれの時点でも速やかに家族へ連絡を入れるべきである。にもかかわらず、家族が8日1時頃に東小口派出所の警官が雷洋のスマホで応答するまで、警察側が雷洋の死を連絡しなかったのはなぜか。家族が雷洋の死亡を知るまでには2時間以上が経過していた。

(4)雷洋の遺品となったスマホには通信記録は残っていたが、なぜか位置情報の記録だけが削除されていた。位置情報記録の削除は故意に行われたものと思われるが、一体誰が何の目的で行ったのか。

【7】警察側は、雷洋が足療店で200元を支払って買春した証拠として押収した使用済みコンドームから雷洋のDNAを検出したと述べている。しかし、雷洋が自宅を出たのが20時45分から21時の間として、警察側が発表したように雷洋が足療院を出たのが21時14分なら、買春するには時間が短すぎることになる。現場付近の監視カメラの映像によれば、雷洋が自宅のある天鑫家園を出たのが21時きっかり、問題の足療店付近に到達したのが21時4分過ぎで、雷洋が3人の私服警官と揉み合いになったのが21時17分であった。ということは、雷洋は21時5分頃に足療店へ入り、いわゆる「本番」をして21時14分に足療店を出たことになり、所要時間はわずか9分しかない。誰が考えても雷洋が買春を行ったとは思えない。

【9】官製メディアの人民日報は、5月11日付で北京市公安局昌平分局の関係責任者3人に取材して、この事件の疑問点を質した記事を掲載したが、その答は以下の通りだった。

(1)雷洋がビデオカメラを破壊したために、現場状況の記録はない。
(2)雷洋は車から飛び降りたのではなく、停車させた車から正常に降りたので外傷はない。
(3)手錠を掛けた後の雷洋は反抗もせず、話もしなかった。しかし、様子がおかしいと気づいて医院へ搬送したもので、雷洋に暴行を行った可能性はない。
(4)家族への連絡が遅れたのは、雷洋が抵抗した際に所持品が四散し、スマホを見つけるのに手間取ったことによる。iPhoneはパスワードを入力しないと使えないので、位置情報記録を削除したことはない。
(5)雷洋が買春したことは現場で押収したコンドームのDNA鑑定から明白である。なおかつ、雷洋は逮捕された際の尋問に、“大保健(本番)”を行い、200元を支払ったと供述している。

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