メディアの記者がこの内容を調査した結果は以下の通り。
(1)東南大学医学院の学籍簿には李志亮という名の卒業生は見当たらない。
(2)中国腫瘤生物治療協会という組織は存在しない。
(3)悪性腫瘍の専門家に問い合わせても、誰一人として李志亮という名を知る者はいない。
(4)紹介文には李志亮が発表した論文30本以上の明細が列記されていたが、それら全ては他人が発表した論文で、李志亮本人の論文は見つからなかった。

 これ以外にも李志亮が中央テレビで紹介された事実はなく、カネを出して李志亮が映し出される広告を買ったというのが真相だった。

かつては電柱、今は百度

【6】要するに、李志亮という人物は医学の知識も医師の資格も持たないインチキ医師であることが明白となったのである。そのインチキ医師が魏則西に施したという生物免疫療法による治療とは何だったのか。恐らく生物免疫療法と称して治療の演技を行っていただけで、魏則西の病状を放置したものと思われる。李志亮にとって、魏則西は生物免疫療法という疑似餌(ルアー)に飛びついた魚で、釣り上げた後は好きに料理してカネを儲ければ良かったのだろう。それこそが莆田系のインチキ医師の本分であり、魏則西の場合は見事にそれが成功した例であったのである。

【7】魏則西が生物免疫療法を見つけ出したのは、検索エンジン「百度」で滑膜肉腫の治療方法を検索した結果であり、武警第二院の生物免疫療法は検索結果の第1位にランクされていた。魏則西がそれを信頼できるものと考えて両親に伝えたことが、全ての始まりだった。李志亮によるルアーフィッシングに手を貸し、検索結果の第1位に配置することにより武警第二院の生物免疫療法に権威と信頼性を与えたのが百度だった。

【8】かつては電柱に広告を張って客(患者)を呼び込むことで偽薬を販売した莆田系だが、彼らの営業戦略は依然として宣伝広告である。時代の変遷は彼らの広告手段を電柱からインターネットやテレビへと変え、今や彼らの広告媒体の主体は中国最大の検索エンジン「百度」となり、百度にカネをつぎ込むことで患者の獲得を図っている。それは、百度が広告枠の配置順位をオークションにより決定しており、それが推薦可能な医院の検索結果にも反映されることになっていることに起因している。財力に勝る莆田系医院は常に広告枠の上位を勝ち取り、推薦可能な医院の検索結果でも上位に配置される。

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