【3】2002年頃から、彼らはその財力を背景に、各地の二流医院や“人民解放軍”や武装警察などの系列医院の「科」や「室」の経営を請け負うことを始め、徐々に系列医院や民営医院そのものの経営を請け負うようになり、その後は民営医院を買収して勢力を広げていった。2013年の政府統計によれば、全国の医院総数は2万4700カ所で、そのうち民営医院は1万1300カ所だが、8000か所(70%)以上の民営医院は莆田系と考えられている。莆田系の民営医院では“陳”、“詹(せん)”、“林”、“黄”の4大家族グループが有名で、彼らが大きな勢力を占めている。陳家グループは全国の“華夏”、“華康”、“華東”を頭に冠した医院、詹家グループは全国の“瑪麗医院”と“瑪麗亜婦産医院”、林家グループは全国の“博愛”、“仁愛”、“曙光”を頭に冠した医院、黄家グループは各地の“五洲男子医院”および“聖保羅(セントポール)女子医院”などをそれぞれ経営している。

ニセ医者集団が病院をグループ化

【4】彼ら4大家族グループの創始者も“游医”と呼ばれる各地を転々とする無資格の医師であったが、偽薬を販売することで大金持ちとなり、今ではこれら4大家族グループに属する人々の中には個人資産が億元(約17億円)を超える人が数百人いると言われている。一方、莆田グループ発祥の地である福建省莆田市東庄鎮では、全人口11万人のうちの7万人が医院だけでなく、薬品や医療器械などの医療産業に従事している。彼らは全国の1万社以上の医薬関連企業に身を置いており、その年間営業額は3200億元(約5兆4400億円)に達しているが、この規模は寧夏回族自治区、青海省、チベット自治区の各域内総生産(GRP)を上回っている。ちなみに、全国31省・自治区・直轄市のGRP(2015年)は、29位の寧夏回族自治区が推計2900億元、30位の青海省が2417億元、31位のチベット自治区が1026億元。

【5】それでは、武警第二院で魏則西に生物免疫療法による治療を行った主任医師の李志亮は本当に莆田系なのか。李志亮は魏則西の死亡後に武警第二院を引退した模様だが、ネット上に残る李志亮に関する紹介文には次のように記載されている。

 李志亮:“中国腫瘤(=腫瘍)生物治療協会”常務副会長、“南京明基医院腫瘤精準医院中心”主任医師。1977年に“江南(長江下流南岸)”の有名校、“東南大学医学院”を卒業。40年近く一貫して悪性腫瘍の臨床治療と科学研究に従事し、国家や地方政府の課題研究に数多く参加し、科学研究論文を30本以上発表している。現在、武警第二院腫瘤生物診療中心主任医師。

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