ところで、米国のニューヨークに本部を置くアジアソサエティ(Asia society)内の米中関係センター(the Center on U.S.-China Relations)が発行するオンラインマガジン「中参館(ChinaFile)」は、2016年1月に中国の“反腐敗運動(腐敗撲滅運動)”に関する研究報告を発表した。1月22日付で「“徳国之声(ドイツの声)”」中国語ネットが報じた当該研究報告に関する記事の概要は以下の通り。

ハエ退治が9割、腐敗撲滅は透明度が不足

【A】米中センターのオンラインマガジン「ChinaFile」は腐敗撲滅運動が始まって以来明るみに出た腐敗案件1462件を整理して発表した。1462件の内訳は、トラ(=高官)が146件に対してハエ(中下級の役人)は1316件で、ハエが全体の90%を占めていた。

【B】習近平が政権を握ってから現在までに、合計で231人の官僚が裁判所で腐敗の罪を確定されて刑罰の判決を下された。これら腐敗官僚に対する裁判所の判決統計によれば、彼ら(231人)が流用・濫用した公金の総額は63億元(約1070億円)以上に達した。

【C】2016年1月初旬に“中央規律検査委員会”副書記の“呉玉良”は、2015年の「腐敗撲滅成績表」を公表した。2015年は中国の改革開放(1979年)以来、党・政府の規律に違反して処分を受けた人数および取調べ中の中堅幹部の人数が最も多い1年だった。その内訳は、合計の立件数が33万件で、処分された者が33.6万人、犯罪容疑で送致され司法機関の処理に委ねられた者が1.4万人であった。

【D】不思議なことに、福建省と浙江省では失脚した官僚が比較的少ないことが判明した。この両省は習近平がかつて統治した、彼にとっての権力の拠点である。この事実から、両省の官僚は比較的寛容に取り扱ってもらえる特権に恵まれていると考えられる。

 なお、上記の記事は文頭で、習近平が推進する腐敗撲滅運動は、透明度が不足しており、政敵を打倒して積年の恨みを晴らすための名目であるとの批評家の声を紹介している。

 これは今までに腐敗撲滅運動により失脚させられた“周永康”、“徐才厚”、“郭伯雄”といった政治家や軍人の構成を見れば明らかで、その大部分が習近平の政敵である“江沢民”のグループに属している。

 こうしたトラたちとは一線を画すハエたちは、基本的に政治の党派とは関係なく、公金の横領や流用、濫用といった私腹を肥やすことで、“八項規定”、“六項禁令”、“反四風”に違反して処罰を受けることになる。しかし、ハエたちは常に周囲の状況を見渡し、危険が迫れば頭を隠して危険が去るのを待ち、危険が去ればまたしても私腹を肥やすための活動を開始する。これは「モグラ叩きゲーム」ならぬ、「ハエ叩きゲーム」であり、たとえどんなに腐敗撲滅運動を徹底したとしても、ハエの習性を変えることはできないだろう。

 中国の歴史書「史記」の滑稽伝には、「“酒極則乱(酒極まって乱となる)”」とある。酒の量をほどほどに抑えてさえいれば、南召県の公務員4人はよもや殺人を起こすことはなかったはずである。「酒は飲むとも飲まるるな」、このことわざはまさに至言である。