2016年4月16日、河南省“南陽市”で公務員による嘆かわしい殺人事件が発生した。

 南陽市は河南省の西北部に位置し、湖北省と陝西省に隣接する省境の市である。南陽市の面積は河南省最大の2.65万km2を有し、人口も河南省最大の1000万人を擁する<注1>

<注1>南陽市の面積は、日本の長野県の面積(1.36万km2)と新潟県の面積(1.26万km2)の合計(2.62万km2)に等しい。ちなみに、両県の人口は、2015年10月時点で、長野県(210万人)、新潟県(231万人)の合計441万人。

昼に4時間飲み、店を壊し、店員を殴った挙句に

 事件が発生したのは、南陽市の北部に位置する“南召県”(人口:92万人)の“四果樹郷高峰庵村”である。メディアが報じた事件の概要を取りまとめると以下の通り。

【1】4月16日の土曜日、南召県“四果樹郷国土資源所”所長の“褚某”がその家族と、“農業局”職員の“武某”、南召県“人民検察院”職員の“張某”、南召県“白土崗鎮司法所”職員の“呂某”の3人を引き連れて郊外で遊んだ後、四果樹郷にあるレストラン“九龍湖農家楽飯店”を訪れて昼食を取った。酒を注文した4人は差しつ差されつ酒を酌み交わし、日頃の憂さを忘れて気勢を上げた。恐らく、4時間以上は酒を飲み続けたものと思われる。

【2】午後5時20分頃に酒宴を終えた4人は昼食代金を支払おうと、レストランの店員に「勘定」と言い、勘定書を持って来るよう命じた。店員(女性)が請求書を提示すると、褚某は南召県政府名義の“簽単(つけ払い)”とするように要求した。これに対して店員は、「当店では現金払いだけとさせていただいています」と拒否したが、4人はこれに激高し、両者の間で口論となった。そうこうするうちに、4人は怒りにまかせて店内の食器類を投げつけて破壊する行為に出たので、店員が彼らの破壊行動を制止しようとしたが、逆に彼らに殴られて負傷した。

【3】レストランの店主である“李金明”は、男たちが破壊行為を行うのを黙って見ていたが、店員が殴られるに及んで、4人の前に歩み寄った。李金明はこの店の店主であると名乗ると同時に、自分は南召県の“人民代表(県会議員)”でもあると身分を明かした上で、改めて4人に対し、県政府名義のつけ払いは受けないと述べて、現金払いをしてくれるように要求した。それでも4人が応じようとしなかったので、李金明は彼らが一見の客で馴染みではないので、現金払いしか受けられないのだと説明を加えた。

【4】彼ら4人が李金明に対してどのような感情を抱いたかは定かでないが、「県の人民代表だと思って、俺たちを馬鹿にしやがって」と考えた可能性は高いかもしれない。彼らのうちの数人は、李金明があくまで現金払いを主張するのに業を煮やして李金明に殴りかかった。運悪く拳をまともに受けた李金明は倒されて頭を地面に強打した。当たり所が悪かったのか、地面に倒れた李金明はピクリともせず、その場で絶命したのだった。