陸昊省長が記者の質問に答えた龍煤集団は、2008年に黒龍江省国有資産監督管理委員会の出資で組織された大型の国有企業である。同集団は傘下に42の炭鉱と16の選炭場を持つ、黒龍江省を代表する石炭企業で、2009年には全国石炭企業ランキングの第12位、全国石炭企業生産量ランキングの第7位に位置していた。しかし、2013年以降は、優良企業であったはずの龍煤集団が、中国の景気低迷と続発した炭鉱事故の影響を受けて大幅な赤字に転落し、3万人の人員削減と同時に、資金難による給与の遅配欠配に陥ったのだった。

「嘘を言うのもほどほどにしろ」

 龍煤集団はその傘下に、中核企業の“龍煤股份公司(株式会社)”、採炭を行う“鶏西鉱業集団”、“鶴崗鉱業区”、“双鴨山鉱業集団”などの炭鉱企業、および選炭、探査、機械設備、研究所など、各分野の子会社を持っている。子会社の一つである双鴨山鉱業集団(以下「双鴨山集団」)は、2013年に赤字に転落し、当初は遅配であった給与は欠配になった。給与の欠配は、2014年に2か月分、2015年に5か月分となり、現在では毎月500元(約9千円)が支払われているだけという状況にあり、双鴨山集団の従業員たちは生活苦にあえぎながらも、忍耐の日々を過ごしている。

 そんな中でメディアを通じて、陸昊省長が全人代の会議で、「坑内労働者8万人については、現在までのところ、給与の遅配もなければ、収入減もない」と述べたことを知った双鴨山集団の坑内労働者たちは激怒した。俺たちが給与の欠配に苦しんでいるというのに、給与の遅配もなければ、収入減もないとは何事だ。嘘を言うのもほどほどにしろ。彼らは3月9日にストに突入し、2日後の11日には数千人が「我々は生きねばならない。我々は食べねばならない」と書かれた横断幕を掲げて“双鴨山市”の街頭をデモ行進した。翌12日には、デモ隊はその数をさらに増し、「“陸昊睜眼説瞎話(陸昊は公然と嘘をつく)”」、「“共産党還我們銭(共産党は我々のカネを返せ)”」などと書いた横断幕を掲げてデモ行進を行った。

 その抗議活動は14日に急きょ動員された軍と警察の部隊によって鎮圧されるまで続いた。