上記の事実から分かることは、3・15夜会が暴露した「中国が禁止している日本の放射能汚染地域を原産地とする食品が輸入され、中国市場で販売されている」という事実は存在しないということである。それは単に食品薬品監督管理局の役人が商品に貼られていた表示を読み誤り、生産企業の本社所在地を生産地と誤解しただけのことだった。その誤解を鵜呑みにして、3・15夜会で意気揚々と消費者権益侵害の事例として放送したのは中央テレビの極めて恥ずかしい勇み足と言える。

「独善と我田引水」治す薬、見つからず

 この事実を踏まえて、中国のインターネットの掲示板には中央テレビを非難する書き込みが殺到した。あるネットユーザーは、「ばつが悪い話だ。中央テレビは問題の商品を摘発しようとして、逆に虚偽報道を摘発された」と書き込んだ。また、別のネットユーザーは、「無印良品をやっつけようとしたのは中央テレビではなく、“外交部(外務省)”だった。結果として、中央テレビは無印良品の宣伝に寄与した」と書き込んだ。

 事の真相は分からないが、中央テレビは国営メディアであり、中国共産党総書記の“習近平”が主導する“媒体姓党(メディアの名前は党)”であるからには、中国共産党が何らかの意図で日本からの輸入食品に対し打撃を与えようとした可能性は否定できない。だが、残念ながら、その意図はあっけなく打ち砕かれ、中央テレビは面子を失ったのだった。

 3・15夜会が楽天を含む韓国の中国進出企業を槍玉に挙げることはなかったが、それが確認された後の3月20日、韓国政府はTHAADの韓国配備を理由に中国が韓国に対する経済的報復を強めているとして、世界貿易機関(WTO)へ中国による協定違反の可能性を提起した。これに対し中国外交部の報道官は、報復措置は中国国民の民意によるものだとして、政府の関与を否定した。しかし、上述の無印良品に関わるネットユーザーの書き込みからも分かるように、報復措置への中国政府の関与を否定する中国国民はごく少数なのではなかろうか。独善と我田引水は中国が患う難病だが、それを治す薬は残念ながら未だ開発されていない。