
2016年3月5日の午前9時、北京市の中心にある“天安門広場”の西側に位置する“人民大会堂”で、中国の国会に相当する「第12期全国人民代表大会第4回会議」(以下「全人代」)が、3月16日まで12日間の日程で開幕した。当日、全人代の開幕が宣言された直後に、最初の発言者として登壇した“国務院(日本の内閣に相当)”総理の“李克強”は、約2時間をかけて“政府工作報告(政府活動報告)”を読み上げた。その内容は、(1)“2015年工作回顧(2015年の活動の回顧)”、(2)“十三五(第13次5か年計画<2016~2020年>)”時期における主要目標と重点施策、(3)“2016年重点工作(2016年の重点活動)”の3項目で構成されていた。
「余剰生産」と「ゾンビ企業」に対処せよ
李克強が発表した政府活動報告の中で、内外メディアが最も着目したのは“化解過剰産能(余剰生産能力の解消)”と“積極穏当処置僵屍企業(ゾンビ企業を積極的かつ穏当に処置する)”であった。それは、李克強が、上述した(3)2016年の重点活動の中で言及したもので、「今年重点的に取り組む8分野の活動」の2番目の分野として提起した「供給側の構造性改革を強化し、持続的成長エンジンを増強する」の中に次のように言及されていた。
余剰生産能力の解消とコストの低減とその効果の増大に注力する。鉄鋼、石炭などの困難な業界の余剰生産能力を除去し、市場のひっ迫性、企業主体、地方の構成、中央の支持を堅持し、経済、法律、技術、環境保護、品質、安全などの手段を運用して、厳格に生産能力の新たな増大を抑制し、断固として後れた生産能力を淘汰し、整然と余剰生産能力を除去する。合併・再編、債務再建あるいは破産・清算などの措置を講じ、“僵屍企業(ゾンビ企業)”を積極的かつ穏当に処置する。財政、金融などの支援政策に万全を尽くし、中央財政は1000億元(約1兆8000億円)の特別奨励補助資金を手配し、その重点な用途を職員の配置転換に置く。総合的な措置を取り、企業取引、物流、財務、エネルギー使用などのコストを低減し、企業が関与する勝手な諸費用の徴収行為を断固止めさせる。
さて、中国語の“僵屍(jiangshi)”とは「硬直した死体」を意味し、かつて香港映画で一世を風靡した「僵屍(キョンシー)」が飛び跳ねていたのは、彼らが硬直した死体でありながら、長い年月を経ても腐ることなく、動き回ることができた妖怪であったからにほかならない。キョンシーは、何らかの力で死体のまま蘇った人間の総称であるゾンビ(zombie)と似たような存在と言う事ができるので、メディアは“僵屍企業”を「ゾンビ企業」と名付けたのだった。
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