黒悪を5つに分類すると…

 上述したビラの内容に信憑性があることを前提に論を進めることとするが、習近平政権が主要な打撃対象とする12種類の黒悪勢力を大別すると以下の5つに分類できる。

【第一類】政治の安定を脅かす、政治領域に浸透する黒悪勢力
【第二類】基層政権の権力を握り、基層改選選挙を操作し、農村資源の独占や農村共同資産の横領を行う黒悪勢力
【第三類】家族や一族の勢力を利用して農村を支配する“村覇”などの黒悪勢力
【第四類】あらゆる場所で利益を求めて活動する悪徳業者、“市覇”、“業覇”および暴力団などからなる黒悪勢力
【第五類】陳情者を組織・画策・扇動する陰の組織者や指示者

 第二類の“基層(区・郷・鎮・村)”は下級行政単位を指すが、黒悪勢力が基層の政権を握り、基層選挙を操作してその代表をより上級の人民会議へ送り込めば、黒悪勢力が政治領域に浸透する可能性があり、その延長線上には第一類の黒悪勢力になる可能性が排除できない。こうして見ると、第一類と第二類は同質の黒悪勢力であり、行政単位が上級か下級かの相違に過ぎず、同じ穴の狢(むじな)と言える。

 その一方で、第二類の基層政権の権力者と第三類の“村覇”は基本的に結託しており、村役人の職権を濫用することで農村を支配し、逆らう者に容赦ない仕打ちをするのが常である。また、第四類の悪徳業者、“市覇”、“業覇”および暴力団などからなる黒悪勢力も、彼らだけでは各種の規制や抑制を受けることから、第二類や第三類の黒悪勢力と連携して庇護を受けるのが常であり、彼らもまた同じ穴の貉であると言える。

 第五類は、冤罪や理不尽な処分を受けて上級機関へ直訴する人々を支援するグループの組織者およびその指導者を指すが、彼らは一般に“維権律師(合法的権利を守る弁護士)”あるいは“人権律師(人権弁護士)”とよばれる弁護士とそのグループである。彼らは常に弱者の側に立って公権力に対抗しているが、常に拘束、監視、資格はく奪などの危険にさらされている。しかし、どれだけ脅されても信念を曲げずに、弱者のために公権力と闘う彼らの姿勢は、公権力にとって目の上のたんこぶとなっているのが実情である。