さて、老頼が裁判所の判決を無視して借金の返済を行わない場合は、原告からの執行申請を受けて、“法院幹警(裁判所所属の司法警官)”が判決に基づき借金の回収を執行することになるが、海千山千の老頼を相手では執行が困難である場合が多く、簡単には全面解決と行かないのが実情である。なお、裁判所の判決により法の執行を受ける人を“失信被執行人(信用喪失被執行人)”と呼ぶ。

ブラックリスト入りで“信用懲戒”

 中国の“最高人民法院(最高裁判所)”は2013年7月16日付で『信用喪失被執行人名簿情報に関する若干の規定』を公布し、同規定は同年10月1日に発効した。同規定の前文には、「被執行人に法律文書で発効し確定した義務を履行する自覚を促し、社会信用体系の建設を推進するため、『中華人民共和国民事訴訟法』の規定に基づき、裁判所の実務と結びつけて、本規定を制定する」とあった。また、その第1条には「被執行人が履行する能力を有しながら、法律文書の発効で確定した義務を履行せず、下記する6項目(詳細略)の一つに該当するならば、裁判所は同人を信用喪失被執行人名簿に登録し、法に基づき“信用懲戒(信用処罰)”を実施する」と規定されていた。

 「信用喪失被執行人名簿」とは、中国政府が社会信用体系を確立するために作った「老頼ブラックリスト」と言える。この老頼ブラックリストには、後述するように信用喪失被執行人の氏名、性別、年齢、身分証明書番号、同人が履行すべき義務、信用喪失の内容などが登録される。

 それでは、その信用処罰とは何なのか。ブラックリストに登録された信用喪失被執行人は、身分証明書の提示が必要な航空券、列車のソフト寝台や高速列車の乗車券(1等席以上)が買えないばかりか、クレジットカードも使用できないし、スタークラスのホテルにも宿泊できない。銀行から融資を受けたくとも受けられないし、住宅を購入することも、株式を買うこともできない。そればかりか、企業の法人代表、取締役、上級管理職などの地位にも付けない。また、企業ならば政府入札にも参加できないし、融資も受けられない。さらに、信用喪失被執行人の名前は必要に応じて新聞、ラジオ、テレビ、インターネットを通じて社会に公表される。信用喪失被執行人が極めて悪質と判断されれば、顔写真付きで手配されることもあるし、時には懸賞金までかかることもある。