1月27日、中国のオンラインコミュニティー「天涯社区」に『当世中国人の十大矛盾行為 その本音に言及する』と題する記事が転載の形で投稿された。その後、この記事は多数のサイトに転載されて話題となったが、その出所をネット検索で調べた限りでは、2014年9月にカナダの中国語サイト「無憂資訊(info 51 ca)」に掲載されたのが最も古く、著者不詳のものであることが判明した。当該記事は3年半以上前の記事であるにもかかわらず、中国国内の各種サイトに何度も転載されている。それはその内容の妥当性をネットユーザーの多くが支持しているからだと考えられるが、筆者には当該記事には現在の中国人社会を読み解く鍵が述べられているように思われる。非常に興味深い記事なので、その内容を筆者の注釈を加えた形で紹介すると以下の通り。

表題:当世中国人の十大矛盾行為 その本音に言及する

 何か事を始めようとすると、急いで“找関係(コネを探す)”。我々は“潜規則(暗黙のルール)”を心底憎んでいながら、自分が暗黙のルールの受益者であることを望んでいる。中国人の十大矛盾行為を列記すると次の通りだが、貴方はこれらに該当しませんか。

1. 我々は“拚爺(父親頼み)”を軽蔑しながら、自分の父親が“李剛”でないことを恨んでいる。
 我々の周囲にはこのような人が多かれ少なかれいる。仕事は父親に手配してもらう、住宅は父親に買ってもらう、車は父親の車を運転し、お金は言えば手に入る。彼らが車で人をはねると、被害者に対して“我爸是李剛(俺の親父は李剛だ)”<注1>と言う。彼らが試験で単位を落とすと、教師に対して“我爸是局長(俺の親父は局長だ)”と言う。周囲にいるこのような人が我々の目の前で父親の権威をひけらかし、「自分の父親は只者でない。父親がいれば何事も簡単に片が付く」と威張る時、我々は心の中で彼をすごく軽蔑し、親父の何がすごいんだとか、お前の能力じゃないくせにと思っている。しかし、その実、振り返って見れば、心の中では「自分にはどうしてあのように権威のある父親がいないのか」という気持ちが涌き上がっている。

<注1>“我爸是李剛(俺の親父は李剛だ)”は、2010年11月に流行語となった言葉。公安局副局長のドラ息子が酒酔い運転で死傷事故を起こした際に、捕えようとした人々に向かって叫んだ言葉。この事件の詳細は、2010年11月5日付の本リポート『ドラ息子、人を轢いて一言「俺の親父は李剛だ、文句あるか」』参照。

2. 我々は“一夜暴富(一夜大尽:急に金持ちになった人)”を馬鹿にしながら、ひそかに“彩票(宝くじ)”を買うのが好きだ。
 現在の中国にはありとあらゆる不思議なことがあり、一夜大尽の例もますます多くなっている。北京市郊外の村民は立ち退きで一夜にして富豪になったし、浙江省の“彩民(宝くじ購入者)”は大富豪に変身した。これらに対して、我々はしばしば心からの皮肉を込めて、商売で一夜大尽になった人はきっと人に顔向けできないことをしたのだろうし、株の売り買いで一夜大尽になった人は幸運に恵まれただけで、天の摂理に従えば、遅かれ早かれ大きな不運に見舞われると考える。但し、我々が宝くじ売り場を通りかかる時、思わず立ち寄って宝くじを何枚か購入するのは、自分も一夜大尽になる夢を見ているのだ。

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