北京市には診療科目が医科全般にわたり、ベッド数が500床以上で、総合評点が高い“三級甲等医院”と呼ばれる大医院が58か所ある。“中国中医科学院広安門医院”(略称:広安門医院)はそのうちの1つで、“国家中医薬管理局(国家中国漢方医学・薬品管理局)”直属の漢方医学に特化した医院である。北京市の中心にある天安門広場から西に約6kmの距離にある“広安門”近くに所在することから、通常は“広安門医院”あるいは“広安門中医院”と呼ばれている。

 1月19日の朝7時頃、その広安門医院の外来ホールにある“挂号(診療受付)”の窓口前で、受付の順番を待っていた若い女性と“号販子”の集団が激しく対立する事件が発生した。

北京へ受診に来た地方女性が“号販子”を罵倒

 中国語で“号販子”という言葉は、非合法に取得した診療受付の番号を高値で販売するダフ屋を指す言葉で、“黄牛”とも言う。その事件の現場に居合わせた人が、当時の模様を撮影した、「北京へ診察を受けに来た地方の女性がダフ屋を罵倒する」と題する長さ2分55秒の動画が、1月25日にネットへ投稿された。動画の中でダフ屋を罵倒している女性は、東北訛りの言葉で、庶民が常々医院にはびこるダフ屋に感じている不満を、立て板に水のごとくまくし立てていた。不届きなダフ屋に対し思いの丈を率直にぶつける様子がネットユーザーの共感を呼び、評判が評判を呼び、動画の再生回数は短時間に1000万回を超えた。

 それでは、その動画はどのようなものだったのか。動画にはダフ屋の集団に向かって声を枯らしながら罵倒し続ける若い女性が映っている。彼女は20歳前後で、ベージュ色のフード付きダウンジャケットを着て、小さな白いリックサックを背負っている。彼女の周囲には診療受付の順番を待つ人々が、彼女を守るかのごとく立ち並んでいる。また、その中には“保安”と呼ばれる広安門医院の警備員も含まれていたようだ。動画の中で女性はダフ屋の集団に向かって次のように述べていた。